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ベンチャーキャピタルとは?資金調達の流れをわかりやすく解説

2019.02.26 資金調達
パソコンを打つサラリーマン

ベンチャー企業が株式上場を目指すうえで、ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を受けることが一つの目標とされることもあります。では、実際にベンチャーキャピタルからの投資はどのように行われるのでしょうか。ベンチャーキャピタルの投資スキームや資金提供を受けるまでの流れ、ベンチャーキャピタルを活用するメリットやデメリットなどをまとめました。

ベンチャーキャピタルとは

複数のビル

ベンチャーキャピタルは、成長が見込める未上場企業に対して資金を提供し、対価として株式を取得することでキャピタルゲインを得ることを狙っています。ベンチャーキャピタルが直接出資することもありますが、ベンチャーキャピタルが金融機関や機関投資家などから出資を集めて組成する投資事業組合(ファンド)を通じて、資金提供を行うケースがほとんどでです。

ベンチャーキャピタルによる投資手法は、未上場企業の株式の引受を行うプライベート・エクイティ投資にあたります。

ベンチャーキャピタルからの資金調達の流れ

実際に未上場企業がベンチャーキャピタルから資金調達をするには、どのような流れになるのか、アプローチ段階からエクジットまで順を追ってみていきます。

有望な企業へのアプローチ

ベンチャーキャピタルでは様々なルートを使って、成長性のある有望な未上場企業へアプローチを図っています。

審査

ベンチャーキャピタルからアプローチを受けたら、必ずしも資金提供を受けられるとは限らず、面談や資料をもとに分析が行われ、投資判断がされます。審査にかかる期間は3ヶ月程度が目安です。

初回面談

ベンチャーキャピタルから接触を受けると、初回面談で担当するベンチャーキャピタリストから株式上場の意思などの確認が行われます。

審査書類の提出

審査書類はベンチャーキャピタルによって異なります。一般的にものを挙げていくと、経営状態を示すものでは、事業計画書や直近3回分の決算書、試算表、金融機関ごとの借入明細があります。また、監査法人のショートレビューが必要となるケースもみられます。会社の概要がわかるものとして、パンフレットやカタログ、定款、登記簿謄本や株主名簿、役員名簿、組織図などが必要です。また、特許などの知的所有権の保有の有無や取引先との契約書類の中でも重要なものに関する情報も伝えます。

事業内容のヒアリング

事業内容のヒアリングでは、今後実施予定の事業の実現性や、事業計画通りの利益を上げることに現実味があるかどうかが重視される点です。たとえば、関連するノウハウや技術が他社と比較して優位性があるか、競合他社が類似する製品やサービスを開発して簡単に参入してしまうことはないかなどが判断材料になります。さらに、市場規模によっては、想定している事業成長に無理が生じるため、市場規模の成長の妥当性もポイントになります。反対に想定されるリスクがあれば、隠すよりも対処策を打ち出しておく方がよい印象を持たれやすいです。

数回の面談

ベンチャーキャピタルによる審査では、経営者や経営陣との数回の面談が実施され、創業の経緯や意気込みなどもヒアリングが行われます。事業内容や事業計画ももちろん重要視されますが、経営者の事業にかける熱意、誠実さや素直さ、愚直さといった人柄も判断材料となります。経営者の年齢やこれまでの経歴も、事業の実現性を判断するうえで考慮されます。また、組織体制として健全な経営が行われているか、経営陣はバランスのよい構成かといったこともみられる点です。

また、側面調査として、取引先の担当者や業界関係者へのヒアリングも実施されることが多いです。

社内審査や投資委員会

提出した書類や面談の内容をもとに社内審査が行われ、投資委員会で了承されると、ベンチャーキャピタルからの資金調達が実現します。投資委員会では、ベンチャーキャピタリストが役員やアナリストに対してプレゼンを行い、質問に答える形で行われるものです。事業の将来性や経営の健全性はもとより、ベンチャーキャピタルの担当者との信頼関係を築き、意思疎通が図れているかも要となります。

投資契約の締結

投資委員会での了承の後、投資契約の締結へと進みます。契約には資金の使途や乗除を目指す場合の上場時期の目標についても盛り込まれます。

経営支援

ベンチャーキャピタルには経営に関与するハンズオン型と、資金提供のみを行うハンズオフ型に分けられます。ハンズオン型のベンチャーキャピタルの場合、事業計画を達成し、株式上場を実現するために経営支援を行い、企業価値の向上を目指していくのが特徴です。

ベンチャーキャピタリストは定期的に訪問し、会議へも参加していきます。そして、人事や営業、財務などに関する戦略の策定や、コンプライアンス励行体制の整備などに関して支援を行ったり、顧客や提携先企業、金融機関などを紹介したりします。また、ベンチャーキャピタルが役員を派遣するケースもみられます。

エグジット

株式上場などをした際にファンドの保有する株式が売却され、投資した資金が回収されます。ファンドの存続期間内に株式上場が達成できなかった場合は、経営陣や第三者への売却が行われます。

ベンチャーキャピタルからの資金調達のメリット

スーツの男性

ベンチャーキャピタルからの資金を受け入れることには、成長の速度を早められる、上場を目指す環境を得られるといったメリットがあります。

資金力により成長の速度を早められる

利益から残った資金を元にした事業投資を行うには成長に時間を要し、多額の借入は毎月の利息の支払いが負担となります。ベンチャーキャピタルから資金調達を行うと、潤沢な資金をもとに設備投資や新たな拠点の設置、積極的な広告展開、優秀な人材の確保などが可能となり、短期間で売上を大幅に増やせるなど、成長の速度を早めることができます。

資金調達がしやすくなる

ベンチャーキャピタルから支援を受けて株式上場を果たすと、株式市場を通じた資金調達が可能になります。また、金融機関の信用力もアップするため、融資が受けやすくなることもメリットです。

取引先からの信用を高められる

企業によっては新規の取引に際して信用調査を行っているため、信用力が低いとみなされると、取引を断られることがあります。信用調査では、資本金は重視される項目の一つです。ベンチャーキャピタルからの資金調達によって資本金が大幅に増えると、信用力が高まり、取引先からの信用を得られやすくなります。

経営に関する助言を受けられる

まだ成長段階にある企業にとっては、ベンチャーキャピタルから資金調達をすることで経営支援を受けられることもメリットです。知識やノウハウを学んだり、事業提携先の紹介を受けたりするなど、成長しやすい環境を得ることができます。

上場を目指す環境を整えられる

株式上場を実現するには、証券取引所ごとに設けられた一定の要件を満たし、審査をクリアしなければなりません。上場対策の専門の部署を設けて、専門家とともに上場準備を進めていくことが一般的です。株式上場のノウハウに長けたベンチャーキャピタルから支援を受けることで、効率よく上場を目指す環境を整えることができます。

ベンチャーキャピタルからの資金調達のデメリット

後ろ姿の男性

ベンチャーキャピタルからの資金調達は多くのメリットがある一方で、経営の自由度が制限される可能性があり、リスクも伴います。

経営の自由度が制限される

ベンチャーキャピタルからの出資を受けると、持ち分比率に応じた発言権が発生するため、経営の自由度が制限されることがデメリットです。早期に結果を出すことが求められるため、経営方針を巡って、ベンチャーキャピタルから派遣された役員と意見が対立する可能性があります。また、株主構成によっては、株式上場によってエグジットした後、経営権を失う可能性も考えられます。

議決権の保有割合による株主の権利については、『株式の保有割合による株主の権利は?会社支配に必要な持ち株比率は?』で詳しく解説しています。

株式の買取義務が生じるリスクがある

株式上場を目標としていて、ファンドの存続期間内に上場できなかった場合は、基本的に株式を売却し、資金回収が行われます。契約内容にもよりますが、経営陣に株式の買取義務が生じるか、第三者への売却が行われるリスクを認識しておくことが必要です。また、上場の実現性が低いと判断された段階で、一部の資金を早期に回収されるケースもあります。

ベンチャーキャピタルの選び方のポイント

パソコンを指す男性

ベンチャーキャピタルは数多くありますが、複数のVCから声をかけられた場合、何を基準に選んだらよいのでしょうか。自社に合ったベンチャーキャピタルを選ぶ基準を紹介していきます。

得意とする投資時期や金額

ベンチャーキャピタルによって、創業したばかりのアーリーステージからミドルステージ、上場が近いレイターステージのいずれを得意とするか異なります。独立系のベンチャーキャピタルはアーリーステージへの投資が多いのに対して、銀行系のベンチャーキャピタルはレイターステージの投資がメインとなる傾向です。また、大手ベンチャーキャピタルは数億円単位の投資が中心ですが、数千万円規模の投資をメインとするベンチャーキャピタルもあります。

ベンチャーキャピタルの審査は厳しいですが、自社の規模やステージに合ったベンチャーキャピタルを選ぶことで、資金調達を実現しやすくなります。

投資審査の期間

ベンチャーキャピタルによって投資契約までにかかる審査期間にも違いがあります。ただし、投資対象となる案件によっても違いがあり、1ヶ月で決まるケースもあれば、1年以上を要するケースもみれます。

経営関与の度合い

ベンチャーキャピタルは経営に積極的に関与するハンズオン型と、資金提供のみを行うハンズオフ型があります。ハンズオン型では株式の持ち分比率が高く、役員の派遣も行われます。ただし、出資を受ける以上、ハンズオフ型であっても、経営方針に対して意見を出されることは当然のことと受け止めるべきでしょう。

ベンチャーキャピタリストとの相性

ベンチャーキャピタルを選ぶうえでは、ベンチャーキャピタリストとの相性も重要です。最終的に投資委員会で経営陣にプレゼンを行うのはキャピタリストですので、キャピタリストとの信頼関係が築けなければ、投資を受けることは難しくなります。また、自社の事業内容への理解を示しているかどうかも重要なポイントです。

ベンチャーキャピタルと接点を持つには

ベンチャーキャピタルから投資を受けたくても、アプローチを受けることがない場合、どのようにして接点を持てばよいのでしょうか。

公的支援機関を活用する

経済産業省や独立行政法人中小企業基盤整備機構、商工会議所などでは、起業やベンチャー企業への支援を行っています。公的支援機関のビジネスコンテストに応募して入賞すると、ベンチャーキャピタルや金融機関へアピールできる場となります。たとえば、独立行政法人中小企業基盤整備機構では、「Japan Venture Awards」を開催しています。

企業評価機関へ協力姿勢をとる

企業評価機関の情報は、ベンチャーキャピタルが新たな投資先の候補となる企業を探す際に活用されています。企業評価機関から取材を受けた際には、データの提供を積極的に行うなど協力姿勢をとりましょう。

銀行や投資を受けた企業からの紹介

系列にベンチャーキャピタルを持っている銀行の場合、担当者の評価が高ければ、VCの担当者につないでもらえる可能性があります。また、ベンチャーキャピタルから投資を受けて成功している経営者に、VCの担当者を紹介してもらうという方法もあります。

まとめ

ベンチャーキャピタルからの資金調達は、潤沢な資金をもとに成長速度を早められることや、上場に向けた環境づくりができるといったメリットがあります。ただし、経営の自由度が制限されるケースが少なくなく、万が一、上場を目指していて実現できなかったときには、経営陣に買取義務が発生するか、第三者が多くの株式を保有するというリスクもあります。

プライベート・エクイティ投資による資金調達は、M&A仲介会社を通じて実現することも可能です。持ち分比率を考慮して出資を募ることで、経営の自由度を確保したまま、資金調達をすることもできます。また、M&A仲介会社に依頼して、M&Aによるエグジットを目指すことも選択肢になります。