事業承継計画とは?策定方法を解説!

2020.10.12 事業承継

事業承継には、後継者の選定・教育や自社株の引き継ぎなど、行うべきことがたくさんあります。

無計画に事業承継に臨むと、想定外のトラブルに直面してしまい、円滑に手続きが進まなくなる恐れがあります。

円滑に後継者に経営権を引き継ぐためにも、あらかじめ事業承継の計画は策定しておくのがベストです。

今回の記事では、そんな事業承継計画を策定する方法や策定にあたって必要な準備について解説します。

事業承継計画とは

事業承継計画とは、事業承継の具体的な進め方や、事業承継後の中長期的な経営方針・目標を盛り込んだ計画です。

計画の作成自体は義務ではありません。

ですが、手間をかけて事業承継の計画を策定すると以下のメリットを得られます。

  • 後継者と先代経営者のあいだで事業承継の進め方を共有できる
  • 会社の持つ課題を整理できる
  • 従業人や外部の関係者に納得してもらえる事業承継を模索できる

上記のメリットがあるために、事業承継を円滑に進めることが可能となります。

また、課題の整理・解決や利害関係者からの理解を得ることで、事業承継後の経営も上手く進むようになります。

事業承継計画の策定方法

中小企業庁が公表している「事業承継マニュアル」では、事業承継計画を策定する方法が詳しく解説されています。

マニュアルでは、下記4つの手順で事業承継計画を策定することが推奨されています。

手順①:会社の中長期目標を設定

まずは、会社の中長期(一般的には10年後まで)の目標を設定します。設定すべき項目は4つあります。

まず1つ目は経営理念です。どのような価値観を重視して経営するかを明確化することで、先代経営者の持つ理念を後世に残せます。

2つ目は事業の方向性です。たとえば「設備投資を行い、積極的に売り上げの拡大を目指す」といった形で、経営を進めるかを明記します。事業の方向性に関しては、先代経営者や後継者の考え方に加えて、時代の流れも踏まえて策定するのがベストです。

3つ目は将来の利益目標です。将来的に達成したい売上高と経常利益について、具体的な数値目標として設定しましょう。

事業承継をどのように進めるかは、会社の中長期目標をベースに策定していきます。

手順②:経営者の行動を設定

次に、事業承継にあたって経営者が取るべき行動を設定します。

具体的には、「人(経営権)の承継」、「資産・知的資産の承継」をどう進めていくかを考えます。

人(経営権)の承継に関しては、後継者の選定や税理士とのアドバイザリー契約、関係者への周知などについて考えます。

資産・知的資産の承継に関しては、自社株の生前贈与や遺言の作成などについてどうすべきか考えます。

手順③:後継者の行動を設定

経営者の行動を設定したら、次に後継者が行うべきことを考えます。

具体的には、社内外の研修や社外での実務経験などを通じて、経営に必要な能力を習得してもらうための計画を作りましょう。

また、相続税や贈与税の負担を軽減するために、事業承継税制の活用を計画に含めるのも大切です。

手順④:会社の行動を設定

最後に、自社株式の分散を防ぐために会社が行うべきことを設定します。

具体的には、相続人に対して売渡請求ができるように定款を変更したり、後継者に議決権を集約するための施策を講じます。

事業計画を策定するプロセスは以上となります。

具体的な記載内容については、事業承継マニュアルの17ページに書かれているので参考にしてみてください。

参考:事業承継マニュアル 中小企業庁

事業承継計画の策定にあたって事前に準備すべきこと

事業承継計画の策定にあたっては、事前に下記3つの準備を行なっておくのが望ましいです。

企業価値の磨き上げ

倒産のリスクや多額の負債を持つ会社だと、後継者の提案をしても引き受けてもらいにくいです。

後継者をスムーズに見つけるためにも、企業価値の磨き上げは不可欠です。

具体的には、負債を減らして倒産や資金繰り悪化のリスクを軽減したり、技術やノウハウを強化して収益性を高める、などの施策が有効です。

現状の把握

計画を立てるに際しては、まずは現状の把握が不可欠です。

把握すべき内容は下記になります。

  • 会社の持つ経営資源
  • 経営者の個人保証
  • 後継者候補の有無
  • 自社の強みと弱み
  • 相続の時点で危惧される問題

特に重要なのは、事業承継に向けて解決すべき課題を把握することです。

課題を把握しておけば、一つ一つの問題をスムーズに解消していけます。

事業承継の方法を決定

計画策定に際しては、事業承継の方法も決定しておきましょう。

事業承継の方法は、「親族内承継」、「親族外(従業員)承継」、「M&A」の3種類です。

方法ごとに行うべき対策は変わってくるので、計画を策定する前に事業承継の方法は確定させておきましょう。

事業承継計画を策定する適切なタイミング

最後に、事業承継計画を策定する適切なタイミングについて、「経営者の年齢」と「時期」という2つの観点からお伝えします。

経営者の年齢が60歳を迎えるまで

事業承継の計画は、経営者が60歳を迎えるまでに策定するのがベストです。

理由としては、後継者の教育に10年ほどの時間がかかること、大半の経営者が70歳までには引退することがあります。

経営者が体調を崩してから計画を策定すると、自社株の引き継ぎや後継者教育が終わらないまま、経営者が亡くなる恐れがあります。

そうならないためにも、経営者の年齢が60歳を迎えるまでに事業承継の計画は策定しておきましょう。

決算が終了した直後

1年間の中で考えると、決算が終了した直後が計画策定の最適なタイミングと言えます。

なぜなら決算が終了した直後は、直近の業績を基にして今後の方向性や目標を策定しやすいからです。

これまでの経営の結果を基に、どのような形で事業承継やその後の経営を進めていくかを考えると良いでしょう。

まとめ

事業承継をスムーズに進める上で、計画の策定は不可欠なプロセスです。

あらかじめ計画を策定しておけば、計画にしたがって事業承継をトラブルなく進めることが可能です。

いずれ事業承継を迎える予定の方は、早いタイミングで事業承継の計画を策定しておきましょう。

参考:事業承継とは?継承との違いや成功のポイントを解説!