M&Aの意味をわかりやすく解説!

2020.10.23 M&A知識

一昔前までは、自力でビジネスを拡大したり、生涯ずっと一つの企業を経営するのが当たり前でした。

しかし近年は、M&Aを駆使して効率的にビジネスを拡大したり、途中で経営からリタイアするケースも増えています。

今回の記事では、そんな「M&A」という経営用語の意味や、具体的なM&A手法(株式譲渡など)の意味をわかりやすくお伝えします。

「M&A」という用語の意味を知りたい方はもちろん、意味だけでなくメリットや手法について知りたい方も必見です。

M&Aの意味とは

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、「合併と買収」という意味を持つ経営学の用語です。

意味を分かりやすく噛み砕くと、会社や事業が一つになったり、ある会社が他の会社や事業を買収することです。

狭義の意味では、経営権の移転を伴う方法のみをM&Aといいます。

ただし広義の意味では、経営権の移転を伴わないアライアンス(業務提携)や資本参加、合弁などもM&Aに含まれます。

またビジネスの実務では、自ら目的を持って会社や事業を売却する行為もM&Aに含まれます。

M&Aの件数が増加している背景

株式会社レコフデータが公表中の情報によると、M&Aの件数はここ数年で右肩上がりに急増しています。

M&Aの件数が増加している背景には、下記2つの理由があると考えられます。

後継者不足による企業が増えている

最大の理由は、中小企業を中心に後継者不足の問題が深刻化していることです。

東京商工リサーチの調査によると、55.6%の中小企業で後継者不在の状況に陥っているとのことです。

後継者不足の影響もあり、2018年には「休廃業・解散」を行った企業の数が過去最多の4万6,724社を記録しました。

そうした事情から、廃業する代わりにM&Aによる事業承継を目指す中小企業が増加しているのです。

「時間を買う」という戦略が浸透

一方で買い手の視点から見ると、時間を買うという戦略が浸透したことも、M&Aの件数増加の背景にあります。

本来新規事業の立ち上げや既存事業の拡大には、ノウハウや顧客などの獲得に多大な時間を要します。

しかしM&Aで他社事業や会社を買収すれば、短期間でノウハウや顧客などの経営資源を獲得できます。

そのため、一から自社で事業を行う場合と比べて、よりスピーディーに目標を達成可能です。

関連記事:M&Aの件数はどのくらい?推移や今後の動向を解説【2020年最新】

M&Aを実施するメリット

この章では、売却と買収する企業の両方の視点からM&Aを実施する利点をお伝えします。

売却するメリット

M&Aにより会社・事業を売却すると、主に以下にあげたメリットを獲得できます。

  • 経営者が多額の売却利益を得られる
  • 廃業コストをかけずに済む
  • 廃業せずに済むため、従業員の雇用契約や培ってきた経営資源を残せる
  • 資本力がある企業の傘下に入ることで、さらなる成長を期待できる
  • M&Aを行った経営者としてのステータスを得られる
  • 不採算事業を売却すれば、「選択と集中(主力事業への集中)」を実現できる

買収するメリット

一方でM&Aにより会社・事業を買収すると、下記に挙げたようなメリットを享受できます。

  • 低リスクで多角化や新規事業の立ち上げを行える
  • 短期間で事業規模を拡大できる
  • スピーディーに経営上の戦略や目標を達成できる
  • 売り手とのシナジーにより、さらなる事業の成長を見込める
  • 希少な経営資源(ノウハウや人材など)を獲得できる

以上がM&Aを行う利点となります。

より詳しくM&Aのメリットを知りたい方は、下記の関連記事をご参照ください。

関連記事:M&Aのメリット【売り手・買い手双方の視点から解説】

M&Aで用いられる手法

実際にM&Aを活用するにあたっては、ただ単にM&Aの意味を理解するだけでは不十分です。

具体的に用いられる手法の意味や手続きについても理解しなくてはいけません。

そこでこの章では、M&Aで用いられる代表的な手法について、意味や手続きをお伝えします。

株式譲渡の意味

株式譲渡とは、自社の株式(≒議決権)を買い手に譲渡するM&Aの手法を意味します。

株式会社では株式(議決権)を持っている割合が多いほど、重要な意思決定に与える影響が大きくなります。

この仕組みから、100%の株式を譲渡すれば実質的に経営権を買い手に譲渡できるわけです。

株式譲渡が持つ最大の利点は、手続きの簡便さです。

一般的な中小企業では、譲渡承認の請求・承認、譲渡契約の締結、株主名簿の書き換えのみで株式譲渡を実行できます。

他の手法とは違い、債権者保護手続きや契約の個別移転、特別決議などの面倒な手続きは不要です。

手続きが簡単に行えることから、中小企業の会社売却では特に好んで用いられる手法です。

ただし買い手側は、簿外債務や不要な事業・資産までも引き継ぐ点が欠点となります。

事業譲渡の意味

事業譲渡とは、会社の中にある事業のすべてまたは一部を売買するM&A手法を意味します。

主に中小企業が経営権を残しつつ一部の事業を売却するケースや、個人事業主のM&Aで用いられる手法です。

なお事業譲渡における「事業」とは、事業に係る資産や負債などを意味します。

株式譲渡とは違い、個別の事業(資産・負債)ごとに売買できる点が最大の利点です。

そのため、売り手は不要な事業のみを売却したり、買い手は必要な資産のみを買収できます。

ただし事業譲渡では、特定の事業に関する資産や権利、負債等を一括で売買することはできません。

売買する資産や権利について、買い手側にて一つ一つ契約を結び直す必要があるので、株式譲渡と比べると手続きは面倒です。

合併の意味

合併とは、複数の会社を一つの会社に統合するM&A手法を意味します。

会社法の規定では、合併を「吸収合併」と「新設合併」の2種類に分けています。

吸収合併とは、片方の会社の法人格を消滅させ、その会社が持っていた権利義務のすべてを既存の会社に移転する手法を意味します。

一方で新設合併は、一度すべての会社の法人格を消滅させ、その権利義務のすべてを新しい会社に移転する手法を意味します。

主に合併は、大企業のグループ内再編や競合他社同士による生き残りを目的に活用されます。

手続きの複雑さから、中小企業の会社(事業)売買ではあまり活用されません。

関連記事:M&Aの種類とは?分け方や各種類の特徴を徹底解説!

M&Aの意味についてのまとめ

M&Aとは、会社や事業が一つになったり、ある会社が他の会社や事業を買収する行為を意味します。

ただし広義の意味では、アライアンス(業務提携)や資本参加、合弁といった経営権の移転を伴わない手法も含みます。

中小企業やベンチャー企業にとって、M&Aは事業の存続や成長を目指す上で非常に有用です。

弊社では無料でM&Aに関する相談を承っていますので、M&Aの活用を検討している方はお気軽にご連絡ください。