• TOP
  • 事業承継
  • 事業承継とは?継承との違いや成功のポイントを解説!

事業承継とは?継承との違いや成功のポイントを解説!

2020.10.06 事業承継

高齢化社会の進行に伴い、この10〜20年で中小企業の事業承継に対するニーズは増加傾向にあります。

経営者が高齢化するに伴い漠然と必要性を認識する事業承継ですが、具体的に何をすべきかを理解している方はあまり多くありません。

そこで今回は、中小企業庁が公開しているデータなども参考にしつつ、事業承継がどのようなものかを詳しく解説します。

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を子供や従業員などの後継者に引き継ぐことです。

一般的な株式会社では、株式(議決権)を後継者にすべて引き継ぐ形で、経営権の引き継ぎを図ります。

経営者が亡くなった時点での事業承継では「相続」、生きている間に事業承継を行う場合は「贈与」の手法を用います。

事業承継と事業継承の違い

事業承継とよく似た用語に「事業継承」と呼ばれるものがあります。

ほとんど同じ意味合いの用語ですが、厳密には以下の違いがあります。

  • 承継:地位や事業、精神などを引き継ぐ
  • 継承:身分や権利、義務、財産などを引き継ぐ

事業承継と事業継承では「引き継ぐ資産のうち、どれを重要視しているか」に違いがあると言えます。

事業承継は抽象的・大局的なニュアンスを持つ一方で、事業継承は具体的・限定的なニュアンスを持ちます。

「事業承継税制」などの法律および制度では、事業承継を正式に使っています。

また、実際には権利や義務だけでなく、先代経営者の理念やノウハウといった抽象的な部分も引き継ぎの対象となります。

以上の理由から、事業承継の方がニュアンスとしては正しいと言えるでしょう。

事業承継の現状

現在多くの法人では、経営者の高齢化に伴って事業承継のタイミングを迎えている一方で、後継者が決定していないという課題を抱えています。

東京商工リサーチが公表している2019年のデータによると、全体のうち55.6%の中小企業で後継者が決まっていないとのことです。

深刻な状況の背景には、経営の先行き不安などから、親族や社内の人材が後継者になってくれない現実があります。

後継者不足の中小企業は、その状態が解消されなければ、たとえ黒字であっても倒産する事態となります。

優良な中小企業が倒産する状況を防ぐために、国では後継者のマッチングや各種補助金制度など、事業承継の支援を積極的に行っています。

実際にこうした支援制度を用いて、事業承継が円滑に成功した事例は増えつつあります。

後継者が見つからない中小企業は、積極的に国や自治体が公表している情報を参考に、支援サービスを利用してみると良いでしょう。

事業承継で引き継ぐもの

中小企業庁では、中小企業が円滑に事業承継を進める際の指針として、「事業承継ガイドライン」を公開しています。

そんな事業承継ガイドラインでは、事業承継で引き継ぐ3つの要素が紹介されています。

この章では、3つの要素について具体的に解説します。

経営権

事業承継でもっとも重要となるのが経営権の引き継ぎです。

経営権の承継とは、後継者に会社の経営権を移転する行為です。

株式会社ならば(議決権)株式の移転による代表者の交代、個人事業主ならば現経営者の廃業・後継者の開業によって実現します。

物的資産

事業承継では、株式のみならず、事業用資産や運転資金といった物的な資産の引き継ぎも行います。

物的資産の承継にあたっては、多額の贈与税や相続税が発生する恐れがあるため注意が必要です。

事業承継税制の活用や金融機関の融資を活用するなどして、資金面での負担を少しでも減らすことが重要となるでしょう。

知的財産

事業承継では、下記に挙げたような知的財産も引き継ぎの対象となります。

  • 経営ノウハウ
  • 技術
  • 経営理念
  • 取引先との関係
  • 顧客情報
  • 知的財産権(特許や商標など)

一つ一つ確認すると分かるとおり、知的財産は企業の核となる強みです。

円滑に引き継げなければ事業の存続が危ぶまれますので、慎重かつ確実に引き継いでいくことが求められます。

参考:事業承継ガイドライン 中小企業庁

事業承継の種類

「後継者を誰にするか」という観点から分類すると、事業承継は「親族内承継」、「親族外承継」、「M&A」の3種類に分けられます。

この章では、それぞれの概要やメリット・デメリットをご紹介します。

親族内承継

親族内承継とは、子供や配偶者、孫などの親族を後継者として事業承継する方法です。

最大のメリットは、早い段階に後継者を確定することで、後継者教育に時間を割ける点です。

また、経営者の親族が後継者となるため、取引先や従業員からの理解も得やすいでしょう。

ただし前述したとおり、先行き不安などから後継者になってもらいにくいのがデメリットです。

また、親族内に経営者としての資質や能力を持つ人材がいるとは限らない点にも注意しましょう。

親族外承継

親族外承継とは、会社内の役員や従業員を後継者として事業承継を果たす方法です。

すでに自社の業務をこなしてきた社員から後継者を選ぶため、経営者としての質を担保しやすいです。

ただし親族外承継では、株式を買収する形で事業承継を果たす必要があります。

そのため、後継者に株式を買い取れるだけの資金力がなければ、事業を引き継げません。

資金力に難がある場合は、銀行からの融資を活用するなど、後継者の負担を軽減する対策をとりましょう。

M&A

親族や会社内に後継者がいない場合、社外の第三者に会社を売却する形(M&A)で事業承継を行えます。

会社売却の形で事業承継を果たす場合、基本的には株式譲渡の手法が用いられます。

事業承継を果たしつつ、経営者が株式の売却利益を得られる点が最大のメリットです。

また、廃業せずに済むため会社の持つ技術やノウハウを後世に残したり、従業員の雇用を維持することもできます。

ただし、買い手にとって買収する価値のある会社とみなされなければ、買い手が中々見つからなかったり、満足いく条件でM&Aを果たせません。

スピーディーかつ満足できる条件で事業承継するためには、不要な資産を処分したり強みを強化することで、企業価値を高める必要があります。

参考:事業承継の方法【メリット・デメリットを解説】

まとめ

事業承継は、中小企業の存続にとって不可欠なプロセスです。

円滑に承継を果たせば、次世代の経営者によってさらなる成長も見込めます。

ただし近年は、後継者不足により事業承継を果たせないまま廃業するケースもあります。

これまで培ってきたものを失わないためにも、M&Aによる事業承継も検討してみてはいかがでしょうか?

弊社ではM&Aによる事業承継に関して、無料でご相談を承っております。

後継者不足に悩む経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。