将来の家族への負担と従業員の雇用の問題がM&Aで解決!

2019.01.25 インタビュー
会議室

30年にわたって金属加工業を営んでいた代表取締役のA様は、M&Aによる事業承継を決断し、事業拡大を図る同業他社に株式譲渡を行いました。A様にM&Aでの事業承継を選択された理由や現在の状況などについて伺いました。

連帯保証や従業員の雇用の問題を解決したいという想い

─M&Aでの事業承継を選択された理由について教えてください。
一つには金融機関からの借入にあたり、私個人で連帯保証をしている点です。今はお陰様でここ数年は黒字経営となっていますが、債務の連帯保証をしている今、私が亡くなると相続人である妻や息子に、連帯保証人の地位が承継されてしまいます。しかし、連帯保証人の地位だけを相続放棄することはできず、相続放棄すると家や預貯金などの財産まで失うことになってしまいます。息子に会社を継ぐ意思があれば、連帯保証を含めて事業承継することも考えられますが、息子は別の道を選びましたので。

もう一つは、従業員の雇用の問題や取引先との関係です。会社を清算して資産を売却して借入の返済に充てるという方法もとれなくはないのですが、そうなると、長年、貢献してくれた従業員が路頭に迷うことになります。それに、20年以上の関係性がある取引先に、黒字にも関わらず廃業を伝えるのは心苦しいと感じていました。

そのため、70歳を迎えたときに、私がまだ元気なうちに会社売却をしたいと考えたのです。

─事業承継する際しての条件を教えてください。
従業員の雇用を維持し、当面の間、従業員の担当する業務にも変化が起きないことを条件にしました。M&A直後に大きな人事異動があっては、従業員が不安を抱えると思いますので。ここまで一緒に頑張ってきたくれた従業員の環境はできるだけ維持したいと考えました。

安心して悠々自適な生活が送れるのはM&Aという決断があったから

─M&A後は、実際に会社はどのような状況になったのでしょうか。
私は相談役として1年残りました。個人的な事情で辞めた者も何人かおりますが、従業員はほとんどそのまま残り、変わらずに働いているのでとても安心しています。現社長には感謝の気持ちしかありません。

─A様ご自身は今はどのように過ごされているのでしょうか。
今は完全に第一線から退き、老後の生活を楽しんでいます。現役時代は仕事優先でしたので、好きなゴルフを楽しんだり、家族と温泉に行ったりするなどゆったりと過ごす時間をとりたいと考えています。とはいえ、まだまだ元気ですので、何か地域貢献ができるボランティアをやりたいと考えているところです。