• TOP
  • インタビュー
  • M&Aで拡大するIT企業 – 株式会社フュージョニアに独占インタビュー!

M&Aで拡大するIT企業 – 株式会社フュージョニアに独占インタビュー!

2019.02.26 インタビュー

創業約20年。ITの受託事業・SES事業を中心に会社を拡大してきた株式会社フュージョニア。現在年商は非公開だが、業績は好調。右肩上がりだ。本業により生み出した利益により企業買収(M&A)を行い、さらに会社を拡大する戦略を推進している。ゼネラルマネジャーの西川氏から、M&Aを実施する理由や経緯、現在の状況などについて詳しく伺った。

M&Aは事業承継と企業再生

─ まず初めに、どのような経緯でM&Aを始めるに至ったのか教えて下さい。

第二創業して10年ほど経った頃「会社の利益も安定して、事業領域の拡大と事業に不可欠な人材の獲得を加速化するため、M&Aを一つの経営戦略として考えて行きたいね」という話に。そんな中、初めてのM&Aは、これまで全く関わってこなかったゲーム業界の会社でした(笑)元々、弊社ではWEBシステムの受託開発を営んでいましたが、M&Aをやるまでは、ゲームの開発は手を出さない分野でした。ゲーム業界は10年くらい前は良かったんですが、ヒットした時の利益率の高さからIT各社が急速に参入しました。その結果競争が激化し、1タイトルあたりの開発コストも相当な金額に上るようになりました。ゲーム業界は悪く言えば博打だと感じていました。

ではそこからなぜ買収に至ったかというと、このゲーム会社が転換期にあったからです。競争が激化する中で、ヒットを出し続けることが難しくなってきていたんです。もし完全にうまくいっている会社だったら、私も当社の代表も興味は持たなかったかもしれません。。一方、人材に実力(開発力)はありました。在籍する技術者も、ネイティブアプリの前は、ブラウザゲームの開発実績がありました。変動要素が多いゲーム業界だからこそ、一極集中で湯水のようにコストをかけて開発をするのは経営的にリスクが高い。ただ、ゲーム開発が純粋に好きで得意なメンバーが揃っているのだから、やり方一つでできる可能性は広がるのではと思いました。そこで、今はやり方を少し変更して、大手ゲーム会社からの受託開発案件や、余剰の戦力については、弊社から受託案件を振ったり、自社サービスの開発を始めたり、売上の源泉を増やすことに成功しました。そうやって健全な経営管理を行うことで、企業はきちんと回ります。

当社は役員が丁寧に1つ1つマネジメントしているので、経営に隙のない会社だと思います。買収前の会社で発生していた過大なコストを削ったり、オフィスを縮小したり統合したりすることで、利益体質にうまれかわります。単に事業を承継するだけでなく、経営としてきちんと健全化し、企業再生していく。これこそがM&Aの醍醐味です。

人事デューデリジェンスが最重要

─ これまでのM&Aの実績を教えて頂けますでしょうか?

現在グループ全体で、グループ内起業の会社、M&Aにより合流した会社を含め、7社あります。

しかし、やたらめったらどんな案件でも買っているかというと、もちろんそんなことはありません。財務・法務・労務など、しっかりとデューデリジェンスを行います。特に当社が重視しているのは、「人事面のデューデリジェンス」です。M&A後には、現場を尊重しながらも新しい方向性に経営の舵を切っていくことがあります。その時、しっかりと戦力になってくれるか、また今すでにある経営資源(リソース)と組み合わせた時にシナジーがあるか、そこを重視して見るようにしています。例えば、小規模ながら自社サービスを持っている開発会社が合流したケースでは、グループ内で営業力の強い、人材紹介の会社が、広く営業をかけられる等、お互いにWin-Winになるというわけです。

M&A後の統合プロセス(PMI)は決して簡単ではない

─ 大変参考になります。しっかりとした経営方針と管理があればM&Aは非常に有効な戦略ですね!

はい。ただ、実際の統合作業というのは、決して簡単ではなく、すんなりは行きません。必ずと言って良いほど問題は発生します。例えば、買収前の会社が「フレックスタイム制度」を導入していたとします。しかし、ルールが曖昧になっていたので、弊社はルールの明確化を行いました。労務規定は労務規定なので守って頂くしかありませんが、「前は大丈夫だったのに、M&A後はダメになった」となってしまうんです。ルールとして決まっていたとしても、前から習慣化してしまっていることを正すのは、決して簡単ではないんです。まさに「言うは易く行うは難し」です。M&A後のPMI(統合プロセス)こそ大切で、従業員としっかり向き合い、地道に行っていくことがM&Aには必要不可欠です。

夢は大きく。数年内にグループ年商を100億に。100年続く会社をつくる!

─ 今後の御社のビジョンを教えて下さい。

当社は未上場企業であり、IPOの方針は現段階でありませんが、安定的に潤沢な利益を生めています。それを元手にM&A戦略も功を奏しています。IT企業の枠を超えて、システムの開発力やWEBマーケティングを活用した集客力を発揮することができれば、様々な事業ドメインを活発化することが可能です。夢は大きく、仕事は堅く。日々の本業をしっかりとこなし、そして着実に伸ばしながら、常にパフォーマンスの高いM&Aを狙っていき、ビジョンを形にしたいと思います。

※インタビュアー土屋:話し方も穏やかで、的確。お人柄も良い西川さん。一方で内に秘める情熱と志は高く、聞いているこちらもワクワクしました。社長様、役員皆様中心に、ぜひ影響力の大きく、素敵な会社にして欲しいと思いました。貴重なお話、ありがとうございました!