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三重県の年商10億円の人材派遣&求人広告業の会社を買収した年商100億の人材派遣会社

2019.02.14 インタビュー

創業約20年。年商100億規模の製造系の人材派遣を行うA社。2018年に三重県の年商10億円規模の同業他社を約7億円で買収し、100%子会社としました。代表取締役のK様から、M&Aを実施した理由や経緯、現在の状況などについて詳しく伺いました。

M&Aは元々好きではなかった

─ M&Aで会社を買収された理由について教えてください。

元々、M&Aで会社を買うというのは、好きではなかったんです。やるつもりも全くありませんでした。出た利益で新しい会社を買う、または資金調達をしてレバレッジを効かせて新しい会社を買う。そうやって見せかけの売上を作っていくことは、そこそこの経営者であればできなくはないと思うんです。でもそれは自分の経営哲学とは少し異なる感じがします。会社というのは数字の奥に従業員達のかけがえのないの努力があり、大変な時も皆で支え合えるという文化が、会社の大事な財産です。新しい支店を出すとき、新規事業をやるとき、そういう文化を1つ1つ皆で丁寧にゼロから築き上げていくというのが好きなんです。

完全に合致した買収したい会社

─ それでも今回M&Aを実施したというのは、何か心境の変化があったんでしょうか?

当社は北は北海道、南は沖縄まで全国で事業展開しています。しかし、ちょうど三重支店だけはまだ出しておらず、ちょうどそんな時に三重の同業他社が売却を検討しているという話をもらったんです。同じ製造系の派遣会社で、求人広告業も行っているという会社でした。数字もまずまずで、自社ビルとキャッシュ(現金)もあり、健全に経営している印象でした。一から支店を作り上げていくことが素晴らしく尊いことではあるけれども、ここまで条件が揃ったことは今までなかったので、「よし、ではM&Aもチャレンジしてみるか」という気持ちで買収を決めました。

─ 不安な点はありましたか?

M&Aの失敗談はよく友人社長から聞かされていましたので、慎重に取り組まなければいけないと思っていました。デューデリジェンスで本質を掴み、いい会社かそうでないかを判断しなければなりません。去年の数字がいいからといって、決していい会社とは思わないです。中でも一番注意しなければならないと思ったのは「簿外債務」です。帳簿や決算上に載っていないが、知り合いなどから借入をしていたり、会社で管理してない手形が見つかったり。これはトラブルの原因になります。2018年に買収して以来、今のところ簿外債務は見つかっておらず、この点は問題にはなっていません。

一致団結する様子

M&Aのシナジー効果

─ M&Aをして良かったと思いますか?

2018年に買収させて頂いて以来、数字も落ちることなく推移しており、なんと三重支店は現在当グループ全体で利益率全国2位の支店にランクインしています。またつい先日、ウチは元々取引はないが前身の三重の会社が取引していたという大手製造メーカーが、統合したことにより、他の地域(横浜)でも新規取引をしてくれることになりました。これがまさにシナジー効果というものですね。

─ 素晴らしいですね。では今回のM&Aは大成功ですね!

いえ、まだ気持ち的には完全に警戒は解けていません。というのも、M&A交渉時に2017年に起きた労災事故が1件こちらに報告されていませんでした。大惨事の事故ではなく、報告する義務もないと思ったのかもしれませんが、当社は業務中の無事故(事故ゼロ)を目指しており、非常に重要視しています。今のところ特に大きなトラブルには発展しておりませんこういったことがないように、引き続き調整を図っていくつもりです。

─ そうだったんですね。統合後でもしっかりやらなければならないことはありますね。

はい、M&A事項は絶対にスタッフに任せるわけにはいかず、社長である私が直接担当していかなければなりません。買収後、前身の役員様は退職する運びとなりました。そうなれば、残された従業員の方々を支えていくのは、今度は当社です。そこはしっかりと責任感を持ち、従業員の方々に「今までよりも良くなったね」と言って頂けるように頑張っていかないといけません。全国の集まりなども年に数回ありますが、三重支店はすでに「他の会社」ではなく、ウチの家族です。これからもしっかり支えていこうと思います。