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M&Aで頼りになる専門家 – 江黒公認会計士に独占インタビュー!

2020.07.17 インタビュー
江黒公認会計士事務所 江黒崇史氏 インタビュー01

IPO支援とM&Aアドバイザリー業務の二つを軸に活動している公認会計士である江黒公認会計士。クライアントはスタートアップ、上場準備会社、新興市場に上場しているベンチャー企業、大手企業など多岐に渡る。豊富なM&A経験を活かした幅広い顧客にアドバイスを送るM&Aのスペシャリストである。そんな江黒公認会計士にM&Aへの取り組み方や考えを伺った。

大手監査法人も小規模法人も経験した強み

─ まず初めに、どのような経緯でM&Aに関わるようになったのか教えて下さい。

会計士になってすぐに入所したのが、いわゆる四大監査法人の一つであるトーマツでした。監査部門に所属をしておりましたが、入社して数ヶ月後にいきなり大型M&Aの財務デューデリジェンスチームに配属され、初めてM&Aに触れたことが、今思うと強い影響があったかもしれないですね。なぜならば、その時の達成感だったり、クライアントからの感謝の言葉が今でも印象に残っているからです。とはいっても、その時はまだM&Aに特化した活動には至らず国内上場企業の監査業務や上場準備企業の監査業務に従事しておりました。

トーマツでの経験は非常に濃いものでしたが、2000年代初頭は次々と東証マザーズにベンチャー企業が上場するブームの動きがあり、多くのベンチャー経営者が注目されていました。そこで自分も経営者側に興味を持つようになりました。さらに、ちょうどその頃、古い友人がITベンチャーを起業することとなり、自分もその会社に取締役CFOとして飛び込んでみました。

監査法人からベンチャー企業CFOへ転身してみるとそれまで経験していない資本政策や予算作成立案、資金調達業務なども担当し、同時に取締役として会社経営のことも色々学ぶことができましたね。
ここではいろいろありましたが、もう一度公認会計士として修業をしようと、今度は小さい会計コンサルティング会社に行きました。小さいとはいえ、ここは監査法人と税理士法人を併設しており、監査業務以外にもコンサルティング業務や税務業務など、これまでにない経験をさせていただきましたね。さらには、セミナー講師、採用、執筆、事業開発などに至るまで、本当に幅広く経験することができました。

仕事自体は楽しかったのですが、やはり独立したいという想いも強かったため、子どもが生まれたことを機に独立を決行。現在は、江黒公認会計士事務所、株式会社E-FASという二つの組織でIPO支援やM&Aアドバイザリー業務に従事するとともに、上場準備会社の社外役員を複数務めております。

<江黒崇史 経歴>
1999年 早稲田大学商学部卒業
2001年 公認会計士二次試験合格、監査法人トーマツ入所
2005年 株式会社イーツリーズ・ジャパン入社 取締役CFO就任
2005年 株式会社アーケイディア・グループ入社
2008年 清和監査法人パートナー就任
2014年 江黒公認会計士事務所設立
2015年 株式会社-FAS設立

江黒公認会計士事務所 江黒崇史氏 インタビュー02

経験をフルに活かしてM&Aを成功に導く!

─ 現在の仕事内容・特徴を教えて頂けますでしょうか?

現在は会計・経営コンサルティング業務、IPO支援業務、M&Aアドバイザリー業務の3つの領域を中心とした活動しています。その中でもM&A業務については、主に財務調査業務と株価算定業務を行ないながら、時にはFAとしてロングリストを作成して候補先の発掘を行なったり、ストラクチャーの相談を行ったりしています。特にここ数年は、上場会社が小規模な会社を買収することが増え、多く相談を受けていますね。事業売却や事業譲渡の相談もありますが、8割以上は買い手側からの相談となっています。
案件の規模としては、売上数億円から20億円程度までの小規模サイズのM&Aが多いです。案件の規模が小さい分、迅速にリスクを検出し、クライアントに報告することを意識していますね。

M&Aにおいて欠かせないのは企業価値評価。対象とする事業・企業の状況やそのM&Aの目的等から多面的なアプローチから当該ディールを分析し株価算定手法を検討する必要があります。分析手法はインカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチの3つがありますが、一件一件のディールで今回はどのアプローチを採用すべきか考えていきます。実際の実務で多いのはインカムアプローチですね。そして、インカムアプローチの中でも将来期待されるキャッシュフローを、その実現に見込まれるリスク等を考慮した割引率で現在価値に割引くことにより評価を行うDCF法が現在のM&Aでは多く用いられております。
もちろんM&Aは一件一件状況が異なりますので、その都度クライアントと「今回のM&Aの目的は、対象会社の状況は」などをしっかり検討し、各種アプローチを説明して当該M&Aに適した手法により株価算定を行うことを心がけております。

基本・原則を大切にしたM&A

─ M&Aに関わる上で、気を付けていることを教えてください。

気を付けているのは、基本や原則的なことを忘れないようにするということです。特にM&Aにおいてよく見受けられることとして、M&Aは手段の一つに過ぎないはずなのに、いつの間にかM&A自体が目的となってしまうことがあります。企業の成長・発展という目的のための手段の一つがM&A。しかし、M&Aすることが目的となってしまい。とにかくM&Aありきとなってしまう。その結果、多少の無理を通してしまうという行動に繋がってしまうのです。

また、他のケースでは、理念の違いによる負の相乗効果でしょうか。私もM&Aの初期段階で、理念については注目しています。そもそも理念が相反するもの同士では、絶対に上手くいかないからです。実際にロングリストを作成して候補先の発掘をしている段階で、理念が双方で合わない企業はM&Aの候補先から外すようにしています。

そして、M&Aの実行面でいうと、デューデリジェンスを行なう上では会計面のみならず、法務・労務に関しても注意を払うようクライアントにも伝え、時には弁護士や社会保険労務士の方と一緒にDDに臨みリスクに対して細心の注意を払っています。何故かというと、未払い残業代といった問題のように、その会社が気が付かないうちに労務の問題に抵触している恐れがあるのです。それがM&Aの成立後に問題となる場合も考えられるため、法務・労務については、専門家に相談するなど、かなり意識を高めています。

これらのように色々気を付けていることはありますが、何よりも気を付けているのは、原点にある想い「関係者みんなの幸せに繋がるかどうか」を考えることです。買い手も売り手も、双方が幸せとなる。そんなM&Aが実現できることを一番願っています。 だからこそ、例えば会社売却では「どんな理由で売るのか?」を深く考えたりしますし、買い手にとってメリットやリスクがどれだけあるのかを考えます。それこそ場合によっては「買わないほうが良い」とアドバイスすることも当然ありえます 。

M&Aの背景には、買い手にも売り手にもそれぞれ「理由」があります。売り手であれば、拡大していった事業をコンパクトにするための事業売却、事業譲渡。後継者に悩んだ末の事業承継、会社売却など。買い手であっても同様です。その理由を踏まえた上で、双方が幸せになるようなM&Aとなるように、これからも全力でお手伝いをしていきたいと考えております。

江黒公認会計士事務所 江黒崇史氏 インタビュー03

※インタビュアー土屋:一言でいうと「困った人はほっとけない」「頼られるほど期待に応える」。そんなタイプであることが、すぐに誰もが感じられると思えるほど、人の好さが溢れている江黒公認会計士。実際にSNSを通じて相談されることもあるなど、多くの人に頼られている存在となっています。セミナーや講演も積極的に行なっている先生なので、M&Aに関心がある方は、是非一度聞きに行ってはいかがでしょうか?