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事業承継における税理士の役割は?依頼するメリットも解説

2020.10.10 事業承継

事業承継で活躍する専門家の一つに税理士があります。

中小企業の経営者にとって馴染みがある専門家とあって、多くの経営者が税理士に事業承継について相談します。

そこで今回は、事業承継における税理士の役割や依頼するメリット、依頼する税理士を選ぶポイントなどを解説します。

事業承継で税理士に依頼できる業務

事業承継では、主に下記3つの業務を税理士に依頼できます。

事業承継に関する納税・節税

一番イメージしやすいのが、事業承継で生じる税金の納税や節税のサポートです。

相続税や贈与税の申告書作成や相談はもちろん、事業承継税制の活用などによる節税対策も行ってもらえます。

株価や相続税の算定

承継する自社株の株価算定や相続税の算定も、税理士が事業承継で担う役割の一つです。

会計や税務の専門知識を要するため、自力で正確な価額を算定するのは困難です。

基本的には税理士に算定したもらう方が、税務調査などで問題を指摘されるリスクを回避できるのでオススメです。

M&Aにおける会計・税務分野の業務

M&Aによる事業承継を行う場合にも、税理士に依頼できる業務がたくさんあります。

具体的には、企業価値の算定(バリュエーション)や税務デューデリジェンス、売却利益にかかる税金の計算・納税などが税理士の担う分野となります。

またM&Aに精通する税理士であれば、M&Aの戦略策定やアドバイスなども行ってくれるので重宝するでしょう。

事業承継について税理士に相談するメリット

事業承継自体は、経営者や社員が一丸となれば実施できます。

では一体、わざわざ手数料を支払ってまで税理士に相談するとどのようなメリットがあるのでしょうか?

具体的なメリットとしては、下記の2つが考えられます。

事業承継の税負担を軽減できる

1つ目のメリットは、事業承継の税負担を軽減できる点です。

事業承継では、自社株の引き継ぎにより多額の相続税や贈与税が課税されます。

実質すべての資産に対して税金が課税されるので、数百万円〜数億円もの税金が課税される恐れがあります。

しかし税金のプロである税理士に依頼すれば、素人では使いこなせない節税対策(事業承継税制や計画的な生前贈与など)を提案してくれます。

そのため、自力で事業承継を行う場合と比べて、大幅に納税する金額を減らせる可能性が高いです。

事業承継の税務に関する労力を軽減できる

もう1つ大きなメリットとなるのが、事業承継の労力を大幅に軽減できる点です。

相続税の計算や申告、事業承継税制の活用には、膨大な資料を揃える必要があります。

加えて手続き自体複雑であり、すべてをこなすにはインターネットを見ながら試行錯誤しなくてはいけません。

そのため、本業やプライベートに支障をきたすほどの労力がかかる傾向にあります。

税理士に依頼すれば、こうした面倒で大変な業務のほとんどを丸投げできます。

事業承継にかかる負担を軽減できるので、本業やプライベートの時間も確保できるでしょう。

事業承継の業務を税理士に依頼する場合の相場

事業承継の業務について、税理士に依頼するとどのくらいの料金がかかるのでしょうか?

この章では、3つの業務について税理士に依頼する場合の料金相場をお伝えします。

相続税申告書の作成や提出

一般的な相続と同様に、承継する遺産総額の0.5%〜1%程度が費用の相場です。

たとえば遺産の総額が1億円の場合、税理士に依頼すると大体50万円〜100万円の費用がかかる計算です。

株価算定

株価の価格算定に関しては、大体5万円〜15万円ほどの費用を要します。

事業承継コンサルティング

比較的大きな税理士事務所だと、事業承継の計画策定から実務に至るまでを一貫して行うところもあります。

このような事業承継コンサルティングを依頼する場合、大体月10万円〜20万円程度の費用がかかります。

事業承継に精通した税理士・税理士事務所を見分けるポイント

一つ注意していただきたいのが、すべての税理士が事業承継に精通しているわけではない点です。

仮に事業承継に精通していない税理士に依頼すると、費用や時間が無駄になったり、制度をうまく活用できないなどの弊害が生じるかもしれません。

そうしたリスクを軽減するためには、この章でお伝えする2つのポイントを踏まえて税理士や税理士事務所を選ぶことが重要です。

事業承継の実績が豊富にある

もっとも重要なのは、事業承継の実績が豊富にある税理士を選ぶことです。

税理士は税金のプロですが、すべての税理士が事業承継(相続税・贈与税)を専門にしているわけではありません。

満足できる質のサービスを受けるには、事業承継を専門とする税理士を選ぶ必要があります。

事業承継を専門とする税理士を選ぶ上で、一番確実かつ手っ取り早いのが実績を確認する方法です。

事業承継を行った実績が豊富にあれば、安心して業務を依頼できるだけの専門知識や経験を持っていると判断できます。

経営革新等支援機関の認定を受けている

事業承継税制の活用を検討している方は、経営革新等支援機関の認定を受けている税理士および税理士事務所を選ぶと良いでしょう。

経営革新等支援機関とは、国が一定レベル以上の専門知識や実務経験を持っていると認定した中小企業の経営を支援する機関です。

いわば国のお墨付きをもらえるほどの専門知識や実務経験を有するため、この認定を受けている税理士に依頼すれば高いレベルのサポートを受けられます。

また、事業承継税制(特例措置)を活用する際には、経営革新等支援機関からの助言・指導を受けながら、特例承継計画を策定することが条件となっています。

そのため、経営革新等支援機関の認定を受ける税理士からのサポートを受ければ、事業承継税制(特例措置)をスムーズに活用できるでしょう。

まとめ

税金のスペシャリストとして、税理士は事業承継のあらゆる場面で重大な役割を担います。

税理士に事業承継をサポートしてもらえば、節税を図れたり納税の労力を軽減できたりと、多大なメリットを得られます。

ただし、すべての税理士が事業承継に精通しているわけではありません。

今回ご紹介したポイントを参考にして、かならず事業承継に精通した税理士に依頼するようにしましょう。

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