小規模な事業・会社でもM&Aは行える!弊社が取り扱った3つの事例を解説!
2020.10.26 M&Aトピック「M&Aって年商数億円以上ある企業や、成長性の高いベンチャー企業でないと行えないんでしょ?」と考える経営者の方は多いです。
確かに一般論として、安定して多くの売上高を稼いでいたり、成長性の高いビジネスを行っている企業の方が、M&Aを実施しやすいのは事実です。
しかし実は、売り上げがほとんど無かったり、成長性が高くない小規模な中小企業でもM&Aは実現できます。
今回は、弊社が実際に取り扱った事例の中から、小規模な事業・会社がM&Aに至った事例を3つご紹介します。
目次
年間売上200万円、負債240万円の芸能プロダクションがM&Aを果たした事例
まず最初に紹介するのは、ほとんど売上が無かったにも関わらず、M&Aに至った芸能プロダクションの事例です。
会社の概要
この芸能プロダクションは、年間の売上高がわずか200万円という非常に小規模な会社さんでした。
売上が少ない一方で抱える負債は240万円と、売り上げと比べると負債の割合が非常に高い状態でした。
一般論として、中小企業の売却相場は、年間利益の3〜5年分に時価純資産を足した金額くらいとなります。
この芸能プロダクションは、売上が200万円と少ない上に、そこから各種の経費を引くため、ほとんど年間の利益は残らない状態となっていました。
そのため、相場だけで言うと実質的にほとんど価値がないと言っても過言ではありません。
加えて成長性が高いビジネスでもなければ、負債も売り上げの割に多かったため、一般的には買い手が見つからない企業の筆頭格でした。
なぜM&Aによる会社売却を果たせたのか
ではなぜ、業績やビジネスの成長性に魅力がない同社が、M&Aによる会社売却を果たせたのでしょうか?
結論を言うと、希少性の高い経営資源を有していたからです。
同社は小さい規模の芸能プロダクションながら、某有名アイドルグループに所属していた歌手との契約を持っていました。
また、テレビ局のプロデューサーをはじめとして、芸能プロダクションを運営する上で欠かせない商売相手のリストも豊富に持っていました。
芸能プロダクションを始めるに際して、一から有名なタレントを確保したり、プロデューサーなどの商売相手のリストを獲得するには膨大な時間や労力を要します。
買い手企業は元々芸能プロダクションを始めたいと考えていましたが、芸能に関するノウハウや経営資源を一切持っていなかったため、自力で行うのは難しいと思ったそうです。
そこで買い手は、芸能プロダクション事業の立ち上げにかかる時間や労力を減らすために、有名な歌手との契約や商売相手のリストを持っている同社を買収したのです。
ITシステムの会社が1,200万円で事業承継M&Aを果たした事例
次に紹介するのは、ITシステムの開発や販売、および運営の管理を行う老舗中小企業の事例です。
会社の概要
こちらの会社は、BtoBの事業者向けに、業務の効率化につながるソフトウェアの販売や、システム導入後の保守をサポートする事業を行っていました。
この売り手企業さんは、経営者の高齢化を理由にM&Aによる事業承継を検討し、弊社に相談した次第となります。
業績は決して悪くなかったものの、資本金はおよそ1,000万円前後であり、大手のM&A仲介会社では取り扱っていない規模の中小企業でした。
事業規模の小ささに加えて、事業内容にも特別な革新性や成長性も見られなかったため、一般的には買い手が見つかりにくい案件であったと言えます。
M&Aによる事業承継を果たせた理由
ごく普通の零細中小企業であった同社ですが、見出しにもあるとおり1,200万円という大きな値段での売却に成功しました。
同社が1,000万円を超える金額でM&Aを果たせた理由は様々ですが、特筆すべきは「保守料を受け取る権利」が引き継ぐ資産に含まれていた点です。
同社では、複数の会社とシステムの保守料を毎月定額受け取る契約を結んでいました。
簡単に言うと、この権利があることで同社は安定かつ継続的に収益を得られたのです。
この権利を引き継げることが決定打となり、1,200万という高い値段でのM&Aに至りました。
関連記事:事業承継とM&Aの違い【事業承継M&Aのメリット・デメリットも解説】
売上0円、Webサイトと商品の譲渡だけでM&Aに成功した事例
ここまでお伝えした2つは、しっかりビジネスを運営し、最低限の収益を得ていた企業のM&A事例でした。
ですが弊社では、売上0円であるにも関わらず事業売却に成功した事例も取り扱っております。
最後に、こちらの事例についてご紹介します。
事業の概要
実は売上0円とあることから分かる通り、こちらの売り手は実際にビジネスを行わずに事業売却を果たしました。
どういうことか理解が難しいと思いますので、詳しい経緯を解説します。
当初売り手は、建物の除菌に用いる機器の販売を行うために、集客目的のWebサイトを制作しました。
しかし諸事情により当事業を行えなくなり、ダメもとで除菌に用いる機器とWebサイトを売りに出しました。
その結果、運よく買い手が見つかったわけです。
こちらのケースは、事業を始めていないにも関わらず、およそ100万円の値段での売却に成功しています。
M&Aに至った理由
一言でいうと、たまたま買い手がやりたかった事業を一足早く始めていたことが、今回のM&Aが成功した理由と言えます。
買い手企業が同じ事業を始めるには、機器を開発または仕入れた上で、Webサイトを制作する手間がかかります。
機器の開発や仕入れだけでなく、Webサイトの制作だけでも多大なコストや時間を要します。
こうしたコストや時間を買う目的で、本件の事業を買収したわけです。
小規模な事業・会社がM&Aを実現するためのポイントとは
ここまでお伝えした通り、一般的には売れないと言われるような小規模な事業・会社でも、M&Aによる会社(事業)売却を実現できるケースは決して少なくありません。
ただし、すべての小規模な事業・会社がM&Aを実現できるわけではありません。
弊社が取り扱った事例をベースに考えると、小規模な事業・会社のM&Aでは下記の条件を満たす必要があると言えます。
- 希少な経営資源(ノウハウやスキル、人材など)を持っている
- 利益につながる許認可や権利を持っている
- 買い手からのニーズがある資産や事業を持っている
3つ目の事例から分かるように、一見すると売れないようなビジネスでも、買い手からの需要があれば売却に至る可能性は十分考えられます。
M&Aを行えるかどうか迷っている方は、まずはお気軽にご相談いただければと思います。