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事業承継とM&Aの違い【事業承継M&Aのメリット・デメリットも解説】

2020.10.01 事業承継

「会社や事業を他の人に引き継ぐ」という点で共通しているため、事業承継とM&Aを同じようなものと理解する方は非常に多いです。

ですが実は、事業承継とM&Aは異なる概念であり、目的に応じてどちらを実施するかが変わってきます。

この記事では、事業承継とM&Aの違いに加えて、近年増えているM&Aによる事業承継のメリット・デメリットについて解説します。

事業承継とM&Aの違い

事業承継とM&Aは、互いに「会社や事業を他の人・会社に引き継ぐ」という点では同じ手法です。

ですが事業承継とM&Aでは、実施する目的に違いがあります。

事業承継は「会社を後世に遺すこと」を目的に実施するケースがほとんどです。

一方でM&Aは、「利益の獲得や事業の成長」などを目的に行うケースが一般的です。

違いを深く理解するために、事業承継とM&Aそれぞれどんな手法なのかを確認しておきましょう。

事業承継とは

事業承継とは、事業(会社)の経営を他の人に引き継ぐ手法です。

主に、経営者が高齢化したタイミングで子供や従業員に経営権を引き継ぐことを意味します。

経営権(株式)や事業用資産はもちろん、取引先や従業員との契約、ノウハウやスキルなどの無形資産も引き継ぎの対象となります。

関連記事:事業承継とは?継承との違いや成功のポイントを解説!

M&Aとは

M&Aとは、事業や会社を売買・合併する手法です。

買い手は、スピーディーに多角化や事業規模の拡大を実現する目的でM&Aを実施します。

一方で売り手は、売却利益の獲得や主力事業への集中(不採算事業の切り離し)を目的にM&Aを活用します。

会社ごと売却する場合は株式、一部の事業のみを売却する場合は事業に帰属する資産を売買の対象とします。

M&Aによる事業承継とは

従来事業承継といえば、親族内や会社内で後継者を指定して行うのが一般的でした。

ですが近年は、少子高齢化や経営の先行き不安などの要因により、親族内・親族外承継を果たすのが困難となっています。

そうした事情から、近年はM&Aにより事業承継を果たす中小企業が増加しています。

M&Aによる事業承継とは、社外の第三者に株式や事業用資産を売却し、経営権の移転を図る手法です。

この章では、M&Aによる事業承継の流れやメリット・デメリットを解説します。

M&Aによる事業承継の流れ

M&Aによる事業承継は、一般的に下記の流れで行います。

  1. M&A仲介会社との相談・契約
  2. 資料作成と買い手探し
  3. 買い手との交渉
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンス
  6. 最終交渉
  7. クロージング(資産の移転と対価の支払い)

手続きの流れ自体は、通常のM&Aと同じです。

より詳しくM&Aの流れを知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

参考:M&Aの流れ【検討段階からの手続きを徹底解説】

M&Aによる事業承継のメリット

M&Aによる事業承継のメリットは、M&Aと事業承継それぞれの恩恵を同時に得られる点です。

具体的には、会社の売却により数百万円〜数億円もの利益を得つつ、廃業せずに長年育ててきた会社を存続できます。

また従業員にとっても、職を失わずに済む上に、財務状況が良い会社で働くことでより待遇が良くなる可能性もあります。

経営者・従業員双方にとって、M&Aによる事業承継は一石二鳥でメリットが大きい手法と言えるでしょう。

M&Aによる事業承継のデメリット

大きなメリットを得られるものの、M&Aによる事業承継では注意すべきデメリットがあります。

最大のデメリットは、赤の他人が会社を新しく経営することです。

M&Aではまったくの第三者が新しい経営者になるため、従業員の間で不信感やモチベーションの低下が生じる恐れがあります。

また、買収先の従業員と上手くいかずに、やる気が下がったり離職するリスクも考えられます。

経営者はリタイアするだけですが、従業員にとっては大きな負担となる場合があるため注意が必要です。

M&Aによる事業承継を成功させるポイント

M&Aによる事業承継は、親族内・親族外承継と比べて、後継者探しや手続きが非常に難しいです。

何も対策を講じずに行うと、後継者となる経営者・会社がいつまで経っても見つからなかったり、交渉過程でトラブルとなったり、満足いく条件で会社売却できないリスクがあります。

そうしたリスクを回避するには、下記3つのポイントを抑えた上でM&Aによる事業承継を実施するのが重要です。

早い時期から準備を始める

M&Aによる事業承継では、自社を買収してくれる相手を一から探す必要があります。

加えて買い手が見つかった後も、交渉やデューデリジェンスなどの手間がかかる手続きが残っているため、すべてが完了するまでには多大な時間を要します。

思い立ってすぐにM&Aを実現できるわけではないため、経営者が健康なうちから早めに準備を始めるようにしましょう。

M&Aの専門家からのサポートを受ける

M&Aでは契約書作成やバリュエーションなど、一般的な事業承継と比べると、手続きに必要な専門知識のレベルが高いです。

加えて希望を満たす買い手を探すのも簡単ではないため、中小企業が独力でM&Aを成功させるのは現実的ではありません。

M&Aによる事業承継では、M&Aを専門的に取り扱う専門家(アドバイザリーや仲介会社)からサポートを受けるのがベストです。

ただしアドバイザリーや仲介会社の中には、M&Aの成否に関わらず手数料を請求するところもあります。

M&Aが成立しない場合でも手数料を取られると、会社の資金繰りが悪化するかもしれません。

したがって、完全成功報酬制の専門業者にサポートを依頼するのがオススメです。

企業価値を高める

M&Aによる事業承継では、自社に対してなんの思い入れもない第三者が買収します。

そのため一般的な事業承継と比べて、「引き継ぐ価値があるかどうか」が非常に重視されます。

ビジネスに将来性が無かったり業績が悪い会社は、M&Aを行いたくても買い手が見つからない恐れがあります。

スムーズに買い手を見つけるには、競合が持っていない技術やノウハウを強化したり、業績を改善するなどして、企業価値を高めるのが不可欠です。

参考:中小企業のM&A【メリットや手順、成功させるポイントを解説】

まとめ

今回お伝えしたとおり、M&Aと事業承継は実施目的に大きな違いがあります。

ですが手続き自体に大きな違いはないため、M&Aにより事業承継を果たすことも可能です。

M&Aによる事業承継では、会社を後世に残しつつ売却利益を得られます。

メリットは大きいものの難易度も高いため、専門家の協力やアドバイスを得た上で実施しましょう。

弊社では、M&Aによる事業承継に関するご相談や仲介業務を随時承っております。

相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。