老舗企業が挑む改革とM&A – 八大株式会社に独占インタビュー!
2020.06.26 インタビュー2年後の2022年には、創業80年を迎えようとしている老舗企業である株式会社八大。事業を継承し続けてきたことだけではなく、数々の改革に取り組み、さらに近年ではM&Aも行なうなど、攻めの戦略を執ってきた三代目社長の岩田氏に、 M&A のきっかけおよび将来の展望を伺った。
投資があってこそのリターン!だからこその思い切った行動。
─ まず初めに、どのような経緯でM&Aを始めるに至ったのか教えて下さい。
八大は元々私の祖父が始めた運送会社で、当時は紙や陶器などを運ぶことが多かったのですが、父の代になっても、同じく紙や陶器を運び続けていました。
しかし、私の代になって考えたことは、「これからの時代はデータ社会で、紙はどんどん少なくなっていくだろう」ということ。そして、その変化に対応していくためにも、これまでとは違う領域に積極的に取り組んでいこうということでした。
そうした中、最初に取り組んだのは、「食品」領域への参入でした。というのも、「ライフラインの製品に関する物流は今後も消えないだろう」という思いがあったからです。
そこで、食品の運送に力を入れ始め、徐々に広がっていき、現在は大手ショッピングモールさんからも仕事を頂けるようになりましたね。
そして、食品という新たな領域への参入と同時に行なったのが、社内の「改革」です。在庫・営業・人事・ITなど、会社のあらゆるシーンで抜本的な改革を行ないました。
その一例では、古い車両20台を全て売却し、その上で億単位の大きな資金調達も行ない、食品物流に合わせた「チルド車両」を一気に50台近く増やしました。
これほど、大胆に改革が行なえた理由として、私の中に「投資しないとリターンはない」という根本的な考え方があるからですね。
こうして数々の改革を行ない、それまで2億円ほどの売上高が倍増以上となり、5億円にまで拡大していきました。
幸いにも改革が成功したので、次に取り組んだのがM&Aでした。この目的は明確で、拠点の広がりを創っていくということですね。運送事業の成長を加速させていくための手段の一つが、私たちにとってのM&Aと言えるかもしれません。
だから、M&A先を私の一存で作り変えるといったような、思い切った改革をするつもりもなく、これまでの企業文化をしっかり守り、そのまま続けていって欲しいと考えています。そういった意味ではM&Aというよりも会社譲渡が行われたという感覚に近いかもしれません。
そうして、私たちにとっては拠点が広がるというメリットがあり、M&A先にとっても継続していくというメリットがあり、双方にとって良い効果が生まれていると思っています。
M&Aも新たな領域へのチャレンジの一つ。そう考えることもできるので、突拍子もないことを行なったつもりもありませんし、今後も機会があれば、M&Aや事業承継、場合によっては事業の売却などを行なう可能性はありますね。
「TOKYO Logistics Influencer」。世の中に大きな影響力を与える会社に!
─ 今後の御社のビジョンを教えてください。
実は2年ほど前に、4年後の80年目にターゲットを置きながら、現在の立ち位置、そして80年目にどういった会社でありたいか?という、問いに対するメッセージを社員に発表しました。
これは、物流の価値観が大きく変わっている中だからこそ、しっかりと方向を定め、着実に成長していきたいという想いをきっかけにしています。
そこで伝えたビジョンが、「TOKYO Logistics Influencer」~我々は総合力・効率化そして安定的な物流を行う事で社会に貢献し、世の中に大きな影響力を与える会社になる~です。
そして、その実現のために掲げた「これからの八大の成長のキーワード」が、「CSV」~Creating Share Value~共通価値の創造 になります。
これは、9つの項目ごとに決めた共通価値になりますが、この共通価値をベースに、様々な取り組みにチャレンジしていきます。
例えば、GPSを使い、稼働率も時間単位で目に見える形に出していく。これは、働き方改革のほか、単純に身体の負担軽減であったり、女性・シニアが働きやすい環境作りにも繋がっていくことでしょう。
こうした取り組みに加えて、コロナの影響もあるので、これからはECがさらに盛り上がってくるであろうから、個人向けの配送にも取り組んでいこうという考えもあります。
80年目(2022年)に向かって、世の中に大きな影響力を与える会社になっていくためには、これからも様々な取り組みを行なっていくことでしょう。それこそ、また新たな領域でのM&Aや事業承継を行なうかもしれませんし、事業売却も全くないとは言い切れません。常に新たなチャレンジは続けていくつもりです。
だからこそ、対外向けの営業マンも在籍しているが、まだまだ社長である私がやることは、多く感じられますね。今後もトップ営業マンとして、先頭を切って頑張っていきたいと思っています。
そして、2年後には「TOKYO Logistics Influencer」として、八大の存在感を大きくしていきます!
※インタビュアー土屋:創業80年を迎えようとする老舗企業でありながら、M&Aを含めて、次々と新たなチャレンジを行なうその積極性は、どこかベンチャー精神にも繋がっていると思われました。それはまさに「老舗×ベンチャー」という新しい企業の姿なのかもしれません。