パン屋を始めるならM&Aがお得?最初の一歩の踏み出し方を解説!

2021.05.24 会社・事業を買う

パンの消費量は増加傾向にあり、様々な種類のパン屋を街で見かけるようになりました。

パン屋を始める際、ゼロから店舗を作っていくのではなく、M&Aという選択肢もあります。

パン屋をM&Aする際のメリット、デメリット、どのような案件が良いのか、実際の案件の探し方について解説していきます。

パン屋の市場規模

パン屋の市場規模は、株式会社富士経済のレポートによると、2020年予測ベースで2兆8,049億円です。

2018年と比べて+2.1%の水準です。パンの内訳ごとの市場規模は以下のとおりです。

  • 食パン:3,480億円
  • テーブルパン:2,483億円
  • 惣菜パン:9,073億円
  • 菓子パン:9,256億円
  • チルドパン:3,758億円

今後もパン屋市場は一定の伸びが期待できる市場です。

参考:

国内のパン市場を調査

パン屋をM&Aするメリット

パン屋をM&Aする主なメリットは以下のとおりです。

  • ゼロから店舗を作るよりも、時間を節約することができる
  • 固定客をそのまま引き継ぐことができる
  • 小麦や油脂などの仕入先を引き継ぐことができる
  • 従業員やパン製造の技法を引き継ぐことができる

ゼロから店舗を作るよりも、時間を節約することができる

新規でパン屋を出店・開業する場合、不動産探し、内見、賃貸借契約書の締結、内装工事、宣伝広告など数多くのステップが必要です。

M&Aであれば、すでに物件が完成している段階でパン屋の買収ができるため、上記にかかる時間を節約することができます。

固定客をそのまま引き継ぐことができる

パンは普段の食卓に並ぶ食材であるため、毎日来るお客様もいるなど固定客が多いビジネスモデルです。

新規出店した場合には、顧客数ゼロから営業しなければなりませんが、M&Aであれば固定客も含めて、引き継ぐことが可能になります。

小麦や油脂などの仕入先を引き継ぐことができる

パンの製造には小麦や油脂などの原材料の仕入が必要です。

原材料はパンの味に直結する要素の一つであり、一から仕入先を探すのは時間とコストもかかります。

M&Aによって重要な仕入先を含めて、買い手が売り手から引き継ぐことができる点がメリットです。

従業員やパン製造の技法、レシピを引き継ぐことができる

パンの製造技法はパン屋それぞれによって異なっていますが、従業員や職人を買い手が引き継ぐ場合には、新たに新規採用する手間がなくなります。

特に人気パン屋の買収の場合、以前からの味を引き継げるかどうかが、M&Aが成功するかどうかの重要なポイントです。

パン屋をM&Aする主なデメリット

パン屋をM&Aするデメリットは以下のとおりでsう。

  • 簿外負債を引き継ぐ可能性がある
  • 割高な金額で買収してしまえば、投資回収できなくなる可能性が高まる

簿外負債を引き継ぐ可能性がある

株式譲渡によって、パン屋を買収した場合、パン屋を運営している会社の株式を買い手は譲り受けることになります。

譲り受けた会社自体に簿外負債が合った場合には、買い手はその簿外負債を弁済する義務が生じてしまいます。

買収前の詳細なデューデリジェンスや、簿外負債を引き継がない買収スキームを検討する必要があります。

割高な金額で買収してしまえば、投資回収できなくなる可能性が高まる

新規出店に比べて、時間を買うことのできるのがM&Aのメリットです。

一方、投資回収できなくなるほど割高な金額で買収してしまえば、投資が回収できずM&Aによって損してしまうことになります。

そのため、パン屋の買収金額の相場感をしっかりと持ったうえで、売り手と交渉することが重要です。

パン屋をM&Aする際のポイント

パン屋をM&Aする際、注意して見るべきポイントは以下のとおりです。

  • 販売しているパンの種類
  • パン屋の立地
  • 販売数量と単価の推移(固定客の人数も含む)
  • 売上、営業利益、資産、負債などの財務数字
  • 買収スキーム

販売しているパンの種類

自分がどのような種類のパンを販売したいかは、買収先を決めるにあたり重要な要素の一つです。

ベーカリーショップや高級食パン専門店など、特徴のあるパン屋も増えてきました。

特定の強みを持ったパン屋など、自分が経営したいパン屋のイメージを持ち、買収先を探すと良いでしょう。

パン屋の立地

パン屋が流行るかどうかは、パン屋の立地も重要です。

駅や職場、ホテル、観光地の近くなど人通りが多ければ多いほど望ましいと言えます。

一方、立地が良いということはその分、家賃も高いことを意味しています。

買収前のデューデリジェンスにおいて、家賃や人件費など固定費を把握し、どの程度売上がなければ赤字になるのか、損益分岐点を把握する必要があります。

販売数量と平均単価の推移(固定客の人数も含む)

パン屋の売上高は、パンの販売数量×平均単価に因数分解することができます。

月次で販売数量や平均単価などのKPIデータの分析を行い、過去どのような推移になっているのかを把握する必要があります。

販売数量が増加傾向であれば良いのですが、減少傾向にある場合、なぜ販売数量が減少しているのか、理由を確認しなければなりません。

また、新規顧客と既存顧客のデータも把握しておきたいポイントの一つです。

固定顧客が多ければ、M&A後も安定した売上確保が見込めるため、事業の安定性が高まるためです。

買収スキーム

パン屋の買収スキームは、主に以下の2種類を利用することが一般的です。

  • 事業譲渡
  • 株式譲渡

事業譲渡とは、個人事業主がパン屋を経営している場合など、売り手から買い手へ事業そのものを譲渡することです。

事業譲渡の場合、買い手は簿外負債を引き継ぐことがないというメリットがあります。

一方、事業譲渡は消費税がかかる、資産・負債の引継ぎを個別に行うことがあるといったデメリットがある点は留意が必要です。

株式譲渡の場合、買い手は簿外負債を引き継ぐリスクはあり、簿外負債を引き継いでしまうと、買収金額以上に損失を追ってしまうリスクが生じます。

株式譲渡は、事業譲渡と比べて手続が簡便であることがメリットの一つです。

小規模なパン屋で、そもそも売り手が個人事業主(経営者)の場合には、株式譲渡は選択することはできず、事業譲渡のみが選択できるスキームとなります。

買い手と売り手が話し合い、両者にとって適切なスキームを選択する必要があります。

パン屋の売却案件の探し方

パン屋の売却案件はM&Aマッチングサイトへの登録、またはM&A仲介会社やFAに相談することで探すことができます。

M&Aマッチングサイトは、都道府県別、地域別にパン屋を検索することができ、自分のビジネスエリアに存在する売却案件を一覧で確認することができるサービスです。

例えば、自社が埼玉県にある場合、近くに店舗があった方が、シナジーを利かせやすいことから、ピンポイントに埼玉県のパン屋を探すこともできます。

パン屋の他にも、製造業、調剤薬局、病院、美容院、卸売業、飲食店業など様々な業種・業界のスモールビジネス案件も登録されています。

500万円など個人でもM&Aできる案件から1億円を超える案件まで様々な規模の売り案件を確認することができます。

個々の売却案件に興味がある場合は、利用規約を確認したうえでM&Aマッチングサイトへの会員登録を済まし、サイトにログインした状態で詳細な情報を確認するようにしましょう。

一方、M&Aが初めての場合には、M&Aマッチングサイトよりも、M&A専門家に相談した方が、M&Aの成功確率が高まります。

M&Aに専門家にどのようなパン屋を買収したいのかを伝えると、買い手におすすめのパン屋やベーカリーショップの買収案件を紹介してもらえます。

パン屋のM&A相場を知りたい、どのようなパン屋を買収するべきか、具体的なパン屋の案件情報が欲しいなどがあれば、相談自体は無料である場合が多いので、専門家に気軽に相談してみるようにしましょう。