ラーメン屋もM&Aできる?事例とともに具体的な手法を解説!

2021.05.26 会社・事業を買う

ラーメンは日本だけでなく、海外からの旅行客も食べに来る国民的な食べ物の一つです。ラーメン屋を始めたい場合、ゼロから店舗を作るのではなく、M&Aという選択肢もあります。今回はラーメン屋のM&A事例とともに、ラーメン屋のM&Aについて具体的に解説していきます。

ラーメン屋の市場

ラーメン屋の市場規模は、経済センサス活動調査(総務省統計局)によると、2016年には6,019億円となっています。

一部の人気ラーメン店では行列が絶えないなど、市場規模は拡大傾向にあります。

即席麺市場においても市場の拡大傾向が見られ、2020年の即席麺の出荷額は過去最高を更新し、6,000億円台の規模となっています。

参考:

平成28年経済センサス‐活動調査

2020年の即席麺市場が過去最高を更新、出荷額は6,000億円を突破/日本即席食品工業協会

近年ではラーメン屋の倒産が増加

ラーメン屋や即席麺など、ラーメンの需要自体は伸びているものの、2020年はラーメン屋の倒産件数が過去最多を更新しました。

2019年は36件、2020年は46件と昨年より10件倒産件数が増加しています。

ラーメン屋の倒産が増えた理由は、コロナにより外食産業自体が依然として厳しい状況にある点が挙げられます。

首都圏では幾度の緊急事態宣言が発令され、ラーメン屋も休業や時短営業を余儀なくされました。

Go Toキャンペーンなど、政府の後押しによる需要回復策もありましたが、お客さんの足は従来通りには戻らなかったのが現状です。

2021年もコロナによる影響が収まらなければ、ラーメン屋の経営状況は悪化する可能性が高まります。

参考:

ラーメン店の倒産、初の年間40件超えで過去最多 コロナ禍で客足戻らず厳しさ浮き彫りに

ラーメン屋のM&Aスキームについて

ラーメン屋のM&Aスキームは、主に2種類が考えられます。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡

ラーメン屋の株式譲渡

売り手がラーメン屋を法人化して経営している場合には、株式譲渡によりM&Aを行います。

株式譲渡の場合、売り手が多店舗を経営していれば、一回の株式譲渡によって、全ての店舗を後継者である買い手へ引き渡すことが可能になります。

事業譲渡よりも手続が簡便で済むことが多いのがメリットとして挙げられます。

株式譲渡は、買い手にとっても消費税がかからないといったメリットがあり、M&Aにおける一般的なスキームです。

ただし、簿外負債を承継してしまうリスクはあるため、買い手は買収前に綿密なデューデリジェンスを実施するなどの対応が求められます。

ラーメン屋の事業譲渡

売り手がラーメン屋を個人事業主として経営している場合には、事業譲渡によりM&Aを行います。

また、法人化して経営している場合でも、特定の一店舗のみを売却したい場合、ラーメン屋以外にも居酒屋など他の事業を展開している場合には、事業譲渡を行うことがあります。

事業譲渡であっても、店舗で働いている従業員も問題なく、売り手から買い手へ承継させることができます。

事業譲渡の場合、消費税が必要、資産・負債の移転に個別の承継プロセスが必要などのデメリットがありますが、買い手にとっては簿外負債を引き継ぐリスクがないといったメリットもあります。

事業譲渡は、株式譲渡と並んで、ラーメン屋のM&Aにて利用されています。

ラーメン屋のM&A事例

上場企業がラーメン屋をM&Aする事例はいくつかありますが、以下の3つの案件を紹介していきます。

  • 吉野家ホールディングスによるせたが屋の買収
  • ギフトによるラーメン天華、ケイアイケイフーズの買収
  • 鉄人化計画による直久の買収

吉野家ホールディングスによるせたが屋の買収

吉野家ホールディングスは、2016年6月27日、都内中心に「せたが屋」や「ひるがお」を

展開する「せたが屋」を子会社化することを発表しました。

吉野家ホールディングスは、牛丼チェーンで有名な企業ですが、M&Aを用いてラーメン屋も展開しています。

M&Aの目的は、せたが屋の経営者である前島社長の知見を活かし、業容を拡大することにあります。

参考:

吉野家HD、ラーメン店「せたが屋」を子会社化 店作りなどで知見活用

ギフトによるラーメン天華、ケイアイケイフーズの買収

ギフトは、2019年7月16日、ラーメン天華と中華麵等の製造を行うケイアイケイフーズを子会社化することを発表しました。

ギフトは、横浜家系ラーメンの町田商店ブランドを中心に、ラーメン屋の多店舗経営に成功している企業です。

ラーメン天華は北関東を中心に高い評価を受けており、ラーメン屋9店舗を運営する企業です。

ラーメン天華の2018年6月期における売上は約7.8億円、営業利益は約3百万円です。

M&Aの目的は、北関東におけるラーメン店の業容拡大にあります。

参考:

有限会社ラーメン天華及び有限会社ケイアイケイフーズの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

鉄人化計画による直久の買収

鉄人化計画は、2020年3月25日、直久を子会社化し、フククルフーズのラーメン事業を直久にて事業譲受する旨を発表しました。

直久のラーメンブランドは創業100年を超え、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県において、20店舗の人気ラーメン店を保有しています。

鉄人化計画は、カラオケの鉄人を多店舗展開する企業ですが、知名度の高いラーメン屋とのシナジーを見込んで今回のM&Aを実施しました。

参考:

株式会社直久の株式の取得(子会社化)及び当該子会社による事業譲受に関するお知らせ

ラーメン屋のM&Aの進め方

以上の事例では、大手上場企業によるラーメン屋の買収事例を見てきました。

未上場企業同士のラーメン屋のM&Aも数多く実施されています。

ラーメン屋の買収方法は、M&Aマッチングサイトに登録する方法と、M&A仲介会社やFAなどの専門家に相談する方法の2種類に分けられます。

M&Aマッチングサイトは、多数のラーメン屋の売却案件を一覧で見る事ができ、サイトにログイン後、詳細な情報を確認することのできるサービスです。

また、東京や大阪などの首都圏以外にも、特定の地域や案件金額を条件に検索することもでき、自らの希望に合ったラーメン屋を探すことが可能です。

ラーメン屋などの飲食業以外にも、様々な業種、業態、価格帯の売却案件が公開されているので、一度サイトを覗いてみることがおすすめです。

中には、500万円など個人でも買収することのできるラーメン店が売却案件として登録されていることもあります。

一方、一人では案件を探すことが難しく感じられる場合や初めてのM&Aの場合には、先にM&A専門家に相談してみると良いでしょう。

M&A専門家は、仲介者会社、フィナンシャルアドバイザリー、コンサルティング会社など数多くいますが、M&Aの経験とノウハウをしっかり持ったプロフェッショナルに依頼することが重要です。

買い手のニーズに応じて、丁寧にM&Aプロジェクトを支援してもらえるので、成約率も高まります。

最初の相談は無料で受けてくれることが多いので、気軽に問い合わせてみると良いでしょう。