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M&Aの基本合意書とは?記載内容を分かりやすく解説

2020.10.29 M&A知識

M&Aの過程では、最終的な契約を締結する前に「基本合意書」と呼ばれる契約書を作成・締結するのが一般的です。

作成は必須ではないものの、スムーズかつトラブルなくM&Aを実施する上では非常に重要な契約書です。

今回の記事では、M&Aにおける基本合意書の概要や記載内容、作成に際して押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

M&Aにおける基本合意書とは

基本合意書とは、売り手と買い手の交渉がある程度進み、基本的な条件に合意がなされた時点で締結する契約書です。

具体的には、トップ面談や条件交渉を経たタイミングで締結されるのが一般的です。基本合意書が締結されたあとは、買い手によるデューデリジェンスが実施されます。

M&Aにおいて基本合意書の作成は必須ではないものの、作成した方があらゆる点でメリットがあります。

最大のメリットは、売り手と買い手の間で認識を共有できる点です。

あらかじめ認識を共有しておけば、後から認識の相違が発覚し、M&A直前になって交渉が白紙になる事態を回避できます。

また、デューデリジェンスや最終的な契約、クロージングといった、その後のスケジュールを明確にできる点もメリットです。

その後何をすべきかを明確にすることで、よりスムーズかつ迅速にM&Aのプロセスを進められるでしょう。

基本合意書の記載内容

M&Aの実務において、基本合意書には主に下記6つの内容を記載します。

売買金額

その時点において、売り手と買い手が合意している会社(事業)の売買価格を記載します。

基本的には、純資産価額法やDCF法などで算出した企業価値を基に、売買価格が決められます。

ただし、その後のデューデリジェンス次第では、妥当だと双方が感じるM&Aの価格が変動する可能性があります。

したがって、基本合意書に記載する売買金額には幅を持たせるのが一般的です。

また、後から売買金額を変えられる旨を記載しておくのも重要です。

参考:M&Aの相場とは?売買価格の決め方を徹底解説

取引形態

取引形態とは、株式譲渡や事業譲渡、会社分割、合併といったM&Aの手法(スキーム)のことです。

基本合意書には、M&Aの実態(どの事業や資産を売買するのか)を基に、最適な取引形態を決めます。

たとえば会社ごと売買する場合には、少ない手続きで済む株式譲渡が選ばれるのが一般的です。

一方で買い手が一部の資産・事業のみを買収したいならば、事業譲渡や会社分割の手法が用いられます。

この時点で明確にスキームが定まっていないならば、複数の形態を候補として記すのも可能です。

M&Aのスケジュール

前述したように、基本合意書の作成にはM&Aを円滑に進める意味合いもあります。

したがって、今後のスケジュール(デューデリジェンスや最終契約、クロージング)をこの段階で明記するのが一般的です。

とはいえ、基本合意書に記載するのは大まかなスケジュールであり、「必ずしもその通りに行わなくてはならない」というわけではありません。

デューデリジェンスに関する取り決め

デューデリジェンスとは、買い手が売り手企業の持つ潜在的なリスク等を調査することです。

調査の範囲は、財務や税務、法務、IT、ビジネスなど多岐に渡ります。

調査にあたっては、売り手側からの資料提出などの協力が欠かせません。

そこで基本合意書に、売り手がデューデリジェンスへの協力に応じる義務が規定される場合があります。

独占交渉権

独占交渉権とは、特定の買い手候補のみが売り手と独占的にM&Aの交渉を行える権利です。

基本合意書に独占交渉権を定めれば、買い手側は他の買い手に売り手企業(事業)を横取りされるリスクを排除できます。

独占交渉権の盛り込みは必須ではないものの、買い手の希望次第では盛り込まれます。

独占交渉権は重要な項目なので、後ほどさらに詳しく解説します。

その他

基本合意書には、上記以外に特筆すべき合意内容を盛り込むこともできます。

具体的には、従業員の処遇や借入金の扱い、M&A後の経営方針などが盛り込まれます。

基本合意書の作成で押さえたいポイント

最後に、実務的な観点から基本合意書の作成で押さえておきたいポイントを2つお伝えします。

売り手にとって独占交渉権の付与はハイリスク

買い手にとってメリットの大きい独占交渉権ですが、売り手から見るとハイリスクです。

なぜなら、独占交渉権を基本合意書に含めると、その後売り手は他の買い手と一切交渉できなくなるからです。

例えば現在の買い手候補よりも圧倒的に高値での買収を提案されても、独占交渉権があることで交渉を行えません。

そのため、売り手からすると大きな機会損失となってしまいます。

以上を踏まえて、買い手の条件を十分に吟味した上で、独占交渉権を基本合意書に含めても良いか検討する必要があります。

また、止むを得ず独占交渉権を設定する場合でも、期間を2〜3ヶ月にするなどの対策が求められます。

法的拘束力の有無に注意

「契約書」として認識される基本合意書ですが、実務においては法的拘束力を持ちません。

したがって、必ず守るべき事項に関しては、別途で法的拘束力を持たせる必要があります。

どの事項に法的拘束力を持たせるかはケースバイケースです。

ただし独占交渉権に関しては、いつでも違反できるものだと意味がないため、法的拘束力を持たせるのがセオリーです。

一方でM&Aのスキームや売買価格に関しては、後から変更する可能性が高いので、法的拘束力は持たせるべきではありません。

基本合意書をM&Aで作成する際は、状況に応じて法的拘束力をどの事項に持たせるべきか慎重に検討しましょう。

まとめ

M&Aの取引をスムーズに進める上で、基本合意書の作成はとても有効な手段です。

ただし記載内容をめぐっては、独占交渉権や法的拘束力などが絡むため注意が必要です。

トラブルなく基本合意書の作成やその後のスケジュールを進めるには、M&Aの専門家から協力を得るのが不可欠です。

M&A仲介のプロである弊社では、M&Aに関する相談を無料で承っております。

基本合意書の作成を含めて、M&Aにお悩みを抱えている方はぜひお気軽にご相談ください。

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