事業承継で必要な対策とは?
2020.10.01 事業承継中小企業の事業承継には、後継者確保や税負担をはじめとして、成功を妨げる要因が多々あります。
そのため、事業承継を進めるにあたっては、早めに的確な対策を講じる必要があります。
この記事では、事業承継に際して必要となる対策を詳しくご説明します。
事業承継の対策を行うべき理由
事業承継を確実に成功させたいならば、あらかじめ対策を講じておくべきです。
対策が必要な理由は下記4つです。
後継者が見つからずに事業承継ができなくなるリスクがある
いざ事業承継をしようと思ったとき、確実に子供や従業員が後継者になってくれるとは限りません。
特に近年は、職業選びの柔軟化や経営の先行き不安から、中小企業の経営を進んで引き受ける人は少ない傾向があります。
後継者探しが難航した結果、事業承継を実現できなくなるケースは決して少なくありません。
突然経営者が交代する可能性がある
経営者が病に倒れたり亡くなることで、ある日突然経営者を交代する必要が生じるかもしれません。
事業承継の手続きはたくさんあるため、数日で手軽に行えるものではありません。
事前に対策しておかないと、いざというときに事業承継を果たせずに終わります。
多額の税負担がかかる
事業承継では、株式をはじめとした資産を後継者に引き継ぐに際して、多額の相続税や贈与税が課税されます。
具体的な金額は相続・贈与する資産の額によって異なるものの、数百万円〜数千万円もの税金が課税されるケースも少なからずあります。
あらかじめ税金対策を万全にしておかないと、納税資金を確保できずに事業の続行が困難となったり、そもそも事業承継を行えなくなるかもしれません。
他の相続人とトラブルになるリスクがある
亡くなった経営者から事業用資産や自社株式を相続する際、他の相続人とトラブルになるリスクがあります。
亡くなった方と近い関係にある相続人には、「遺留分」という最低限保障されている財産の取り分が法律上規定されています。
他の相続人から遺留分を請求されることで、自社株などの資産をすべて引き継げなくなる可能性が出てきます。
具体的な事業承継の対策
では一体、どのような対策が必要となるのでしょうか?
この章では、具体的な事業承継の対策を5種類お伝えします。
後継者の確保・教育
事業承継でもっとも重要な対策は、後継者の確保と教育です。
後継者がいないと始まらないため、まずは誰が後継者となるのかを確定させましょう。
後継者を確定したら後継者教育を行います。後継者教育では、経営ノウハウや理念、業務に必要な技術などを教え込みます。
後継者教育には5年〜10年ほどの期間がかかるため、余裕を持って後継者を確保するのがベストです。
相続税・贈与税対策
税金対策も事業承継では不可欠です。
具体的には、生命保険への加入により自社株の評価額が下がったタイミングで、自社株を引き継ぐ対策が効果的です。
または、相続税や贈与税が100%猶予となる「事業承継税制」を活用するのも、大幅に税負担の軽減につながります。
他の相続人との折衝
後継者に経営権を集中させるためには、他の相続人に納得してもらえる形で相続を行う必要があります。
たとえば後継者に自社株や事業用資産をすべて渡す代わりに、他の相続人にはそれ以外の資産を遺すようにすると、納得を得やすいです。
もしくは、遺言により後継者に自社株を相続させることを指定するのも一つの選択肢に入るでしょう。
ただし、親族間で関係性が悪化するリスクもあるため、事前に話し合いの場を設けて納得してもらうのが大事です。
必要資金の確保
親族外承継では株式の買収資金、M&Aでは仲介会社への手数料といった形で、事業承継では多額の資金が必要となります。
資金を準備できないと事業承継を行えない可能性も出てくるため、あらかじめ必要な資金は確保しておきましょう。
具体的には、事業承継補助金の活用や金融機関からの融資により、資金を確保できます。
事前にどのくらいの資金が必要となるか試算し、その上で融資や補助金の制度を活用しましょう。
企業価値の磨き上げ
後継者を誰にするかに関係なく、引き継ぐ価値を見いだせない会社だと、事業承継を引き受けてもらえる可能性は低いです。
後継者候補に事業承継を引き受けてもらう可能性を高めるためにも、早い時期から企業価値の磨き上げに着手しましょう。
企業価値の磨き上げとは、自社の強みとなるノウハウや技術を強化したり、弱みとなる部分(不要な在庫や過剰な負債など)を改善することで、企業の金銭的な価値を高めることです。
企業価値の磨き上げを行えば、後継者にとって引き継ぐ魅力のある会社となります。
特にM&Aでは、買い手をスムーズに見つけ、満足いく条件で売却するために企業価値の磨き上げは不可欠です。
事業承継の対策を成功させるコツ
最低でも下記3つのコツは押さえておくと、事業承継の対策を成功させることが可能です。
早めに始める
事業承継対策は早めに始めるのが重要です。
たとえば前述した後継者教育には最大で10年もの期間を要します。
また、第三者にM&Aを行う場合には、相手探しからすべての手続きが完了するまでに1年以上の期間を要するケースが少なくありません。
事業承継の対策をすべて完了するには時間がかかるため、経営者が健康なときから早めに始めましょう。
現状を把握した上で対策を講じる
事業承継の対策を始める際には、あらかじめ現状の課題を把握しておきましょう。
後継者の有無や他の相続人の状況、資金の有無などを整理すれば、どの対策を重点的に行うべきか明確になります。
必要ない対策を行って時間や労力を無駄にしないためにも、現状抱えている課題はかならず明確にしましょう。
専門家のアドバイスや協力を積極的に得る
事業承継の対策を行うには、会計や税金の専門知識が欠かせません。
経営者が独力で行うと、間違った対策で効果を得られなかったり、脱税などになるリスクがあります。
確実かつ安全に対策を行うためにも、税理士や事業承継アドバイザーなどの専門家の助力を得るのがオススメです。
まとめ
事業承継では、後継者や税金、相続人など、あらゆる部分で対策が必要です。
一つ一つの対策を確実にこなすことで、円滑な事業承継を実現できます。
ただし事業承継の対策では、税金や法律などの専門的な知識が求められます。
対策を問題なく行うためにも、税理士や事業承継アドバイザーなどの専門家からのアドバイスを得るのがオススメです。
弊社では、特にM&Aによる事業承継を果たしたい方に向けて、無料でご相談を承っております。
親族や社員に後継者がいない場合は、ぜひお気軽にご相談ください。