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事業承継ガイドラインとは?具体的な内容を徹底解説!

2020.09.23 事業承継

「後継者教育」や「自社株の引き継ぎ」など、事業承継では日頃聞き慣れない用語がたくさん出てきます。

また、事業承継を進めるにあたっては、税金や法律などの専門的な知識も必要です。

用語が難しい上に手続きが面倒であることを理由に、事業承継の準備を進められない経営者の方も少なくありません。

手続きが困難な事業承継を進めるにあたっては、中小企業庁が公開している「事業承継ガイドライン」を参考にするのがオススメです。

今回の記事では、事業承継ガイドラインの意味や内容、要点だけを学べる「20問20答」について分かりやすく解説します。

事業承継ガイドラインとは

事業承継ガイドラインとは、「円滑な事業承継の促進、および中小企業の事業活性化」を目的に中小企業が策定した資料です。

具体的には、事業承継に向けた早期・計画的な準備の重要性や、課題の解決策、事業承継を支援する体制に関する方向性などが盛り込まれています。

このガイドラインが作成された背景には、多くの中小企業で経営者の高齢化が進んでいる現状があります。

中小企業経営者の高齢化が進む一方で、多くの企業にて事業承継のプロセスが進まないことが深刻な問題となっています。

そうした事情を踏まえて、スムーズに事業承継を行う上で参考となる資料を公表しているのです。

参考:事業承継ガイドライン 中小企業庁

事業承継ガイドラインの各章に書かれた内容

事業承継ガイドラインは、全部で6つの章立てで構成されています。

ここでは、各章に記載されている内容に関して、特に重要な部分をご説明します。

第一章:事業承継の重要性

第一章では、事業承継がなぜ重要なのかが説明されています。

冒頭では、現時点における経営者の高齢化や後継者が決まっていないことなど、中小企業を取り巻く現状が述べられています。

冒頭以降は、多くの企業で後継者不足となっている点や事業承継を実現することで得られるメリット、事業承継で引き継ぐべき資産に関して説明がなされています。

第二章:事業承継に向けた準備の進め方

第二章では、事業承継の準備をどのように進めていくべきかが説明されています。

事業承継ガイドラインでは、下記のステップで事業承継の準備を進めることを推奨しています。

  • ステップ1:事業承継の準備の必要性の認識
  • ステップ2:経営状況・経営課題の見える化
  • ステップ3:事業承継に向けた経営改善
  • ステップ4:「事業承継計画の策定(親族内・従業員承継)」または「マッチング実施(M&A)」
  • ステップ5:事業承継またはM&Aの実行

ガイドライン内では、各ステップについて重要なポイントや注意点が述べられています。

この章を徹底的に参考にすれば、スムーズに事業承継の準備を進められるでしょう。

第三章:事業承継の類型ごとの課題と対応策

第三章では、事業承継を行う3種類の方法と、各方法が持つ課題とその対応策が詳しく説明されています。

事業承継ガイドラインでは、事業承継の種類を「親族内承継」、「従業員承継(親族外承継)」、「社外への引き継ぎ(M&A)」の3つに分けています。

それぞれの方法に関して、主に下記の課題が提示されています。

  • 親族内承継:後継者教育、親族内での調整、従業員や取引先との事前調整、税負担への対応
  • 親族外承継:買収資金の確保、経営環境の整備(関係者の理解)、株式の分散防止、債務や保証の承継
  • M&A:情報管理の徹底、企業評価、M&A後の従業員・経営者の処遇、各M&A手法のメリット・デメリットの理解

特にM&Aによる事業承継は、他2つの方法と比べて専門的な知識や慣れない業務を必要とします。

ガイドラインをしっかりと読み、知識をつけた上で実施するのが良いでしょう。

弊社でもM&Aによる事業承継のご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

第四章:事業承継の円滑化に資する手法

第四章では、円滑に事業承継を実現する上で役に立つ手法がいくつかご紹介されています。

具体的には、主に下記の手法がガイドライン内で述べられています。

  • 種類株式の活用(株式分散の防止)
  • 信託の活用(後継者への確実な承継)
  • 生命保険の活用(納税資金の確保)
  • 持株会社の設立(株式分散の防止)

どの手法も節税や経営権の確実な移転を図る上で有益です。

ただし法律や税務の専門知識が必要となるため、税理士などの専門家に相談した上で活用するのがベストです。

第五章:個人事業主の事業承継

第五章では、個人事業主の事業承継について、課題や対応策などが解説されています。

法人と個人事業主では、若干事業承継の手続きや重要なポイントは異なります。

個人事業主の方が事業承継を行う際は、ガイドラインの第五章をしっかり確認しておくのがベストです。

第六章:中小企業の事業承継をサポートする仕組み

第六章では、国や地方自治体が行っている事業承継支援のサービスや取り組み内容が解説されています。

資金面や手続き面でサポートしてくれる具体的な機関も紹介されているので、参考にしてみましょう。

要点だけ知りたければ「事業承継ガイドライン 20問20答」を確認しよう

事業承継ガイドラインは、合計でおよそ100ページ弱に上る資料であるため、すべて読むのは手間と時間がかかります。

そこで中小企業庁では、事業承継ガイドラインの要点をまとめた「事業承継ガイドライン 20問20答」を公開しています。

ガイドラインの中でも重要な部分が抜粋され、一問一答形式で解説されています。

事業承継ガイドラインの要点のみを知りたい方は、ぜひ20問20答を有効活用しましょう。

「20問20答」の主な内容

20問20答では、主に下記の内容に関する答えが解説されています。

  • 事業承継対策はどうして大切?
  • 事業承継計画を立てるには、まず何をすべき?
  • 後継者教育は、どのように行えばよい?
  • 従業員等への承継で注意する点とは?
  • M&Aを成功させるためのポイントとは?
  • 事業承継をサポートしてくれる専門家とは?

大まかな仕組みに関する解説から、具体的な実務に関する解説まで網羅的になされています。

事業承継で特に重要な部分はカバーしているので、お時間に余裕がない方は20問20答を確認してみましょう。

まとめ

事業承継ガイドラインは、中小企業にとって事業承継を円滑に進める上で役に立つ指針です。

すべてを細かく読むのは大変ですが、要点を抑えるだけでも事業承継で最低限知っておくべき事柄は十分理解できます。

今後事業承継を実施する必要が生じたら、ぜひ事業承継ガイドラインを参考にしてみてください。

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