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事業承継と廃業のどちらを選択すべき?それぞれのメリットとデメリットを解説!

2021.03.01 事業承継

現在の日本では、経営者の高齢化を理由に事業の承継を検討する中小企業の件数が増えている傾向にあります。

しかし一方で国内にある多くの企業は、経営の環境が悪化していることなどが原因で、後継者が不足している問題を抱えています。

そうした会社の中には、やむを得ず廃業という選択肢を選ぶケースも少なくありません。

そこで今回は、数ある事例をもとに事業承継と廃業のどちらを選択すべきかを解説します。

事業の引き継ぎと廃業について、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

特に廃業の実施を考えている方は、実行に移す前にぜひ参考にしてください。

廃業(清算)のメリット

まず先に、廃業(清算)を行うメリットをご説明します。

確実に会社の経営を辞めることが可能

解散や清算といった廃業の手続きを行えば、確実に会社の経営からリタイアできます。

早めにリタイアして、その後は悠々自適に暮らしたいなどと考えている人にとっては、この点は大きなメリットとなるでしょう。

経営の状態が悪化する前に先手を打てる

廃業のタイミングを間違えなければ、経営の状態が悪化する前に、事業から撤退することが可能です。

現状として、全国の中小企業では深刻な経営の先行き不安に見舞われています。

大手企業の参入や景気の悪化などにより、いつ業績が急速に悪化し始めるかは予測できません。

多額の借金を背負う事態を回避するために、早い時期に廃業するのは非常に有効です。

廃業(清算)のデメリット

一方で廃業には、以下にあげた2つのデメリットもあります。

従業員や取引先に大きな迷惑をかける

廃業にあたっては、従業員や取引先との契約をすべて打ち切る流れとなります。

したがって、従業員や取引をしている会社は収入源を失うことになり得ます。

廃業を行う場合には、社員や取引先にあらかじめ相談し、理解を得ておくのがおすすめです。

借金が経営者のもとに残るリスクがある

中小企業の多くは、経営者が個人で会社の借金に対して個人保証を設定しています。

そのため、多額の負債を抱えている会社が廃業すると、経営者の個人に負債返済の負担がかかります。

すでに事業で多額の資産を得ている方ならばまだしも、十分な返済資金がない状態で借金を背負うことになると、その後の生活はとても大変なものとなるでしょう。

事業承継とは

事業承継とは、子供や従業員などの者に、自社の経営権(株式)ごと承継させる手法です。

なお実際には、事業用の財産(資金など)や強みとなるノウハウも引き継がれます。

具体的な方法としては、相続や贈与、株式の売買などで事業承継を行います。

事業を承継する後継者は「親族」、「従業員」、「外部の経営者・会社」の3種類

事業承継の相手は、大きく自身の親族(家族)、社員、外部の経営者または法人の3種類に大別されます。

基本的には親族を相手としますが、自分の身内に事業を引き継ぐ者が不在の場合には、社員の中から候補を選ぶことになります。

社員の間で適任となる者が見つからない場合には、外部の会社や個人に会社売却や事業譲渡の形で承継することになります。

税制を活用すれば税金の負担を軽減できる

事業承継を実施する際には、「事業承継税制」という制度を知っておくのがおすすめです。

こちらの制度を活用すれば、相続税や贈与税の納税を免除または猶予してもらえます。

個人に課される税金の負担を大幅に軽減できるため、積極的に使うようにしましょう。

ただし詳細な条件として、後継者の年齢や5年にわたる事業の継続、業績などが定められています。

すべての要件を満たすのは難しいため、必ず税理士などの専門家に相談し、十分なサポートを得るのが大事です。

事業承継のメリット

次に、事業承継によって得られるメリットの一覧を、廃業や倒産と比較してご紹介します。

従業員の雇用を維持できる

事業承継を行う最大のメリットは、従業員の雇用維持を実現できる点です。

社員は職を失って生活に苦しむ心配がないため、経営者自身も不安が残ることなくリタイアできるでしょう。

M&Aの場合は経営者が売却による利益を得られる

M&Aによって第三者に経営を譲渡する場合、事業や株式の売却による利益を受け取れます。

売却価格は、売り手の純資産や類似する業種・業界の他社、将来の収益性などをベースに決められます。

たとえば中小企業の場合、純資産に「営業権(のれん代)」を加算した金額が相場となる傾向があります。

買い手から見て価値のある強みや資産を持っていれば、通常の相場よりも高い額で評価・買収してもらえる可能性もあります。

事業承継のデメリット(注意点)

メリットが多い事業承継ですが、いくつかデメリットがあるため成約させるのは簡単ではありません。

事業承継を成功させて会社を存続するには、以下にあげた2つの点に注意し、あらかじめ対策を講じることが大切です。

事業の引き継ぎに多くの労力や時間がかかる

事業承継では、後継者の教育や株式の引き継ぎ、顧客や取引先への周知など、たくさんの手間を要します。

M&Aによる事業承継だと、以上に挙げた手続きとは別に、案件(買い手)探しや交渉、買い手による調査(デューデリジェンス)といった手続きも発生します。

そのため、事業承継の準備には多くの労力や時間、コストがかかります。

会社を存続する上で有効な手段ではあるものの、思い立ってすぐに実行できるわけではないので注意しましょう。

必ずしも適任の後継者や買い手が見つかるとは限らない

必ずしも適任の後継者や買い手が存在するとは限らない点も、事業承継を行う上で注意すべきポイントです。

経営者として会社を存続させるには、業務に必要な技術やスキルはもちろん、全体を俯瞰する視点やマーケティング力といった総合的な能力が不可欠です。

こうした能力を持たない相手に事業承継すると、かえって業績が下がってしまうリスクがあります。

限られた数しかいない親族や社員の間に、こうした能力を持つ人材がいるとは限りません。

また、自社を正当に評価して買収してくれる買い手も、なかなか見つからない可能性があります。

現状として買い手から高く評価される会社でなければ、まずは自社の収益性や強みを強化する取り組みを行いましょう。

MAポートではマッチングから案件の成立までを支援しています!

今回のコラムでお伝えしたように、事業承継は廃業と比べてとてもメリットが多い手法です。

ただし手続きには時間や労力がかかるため、専門家の支援を受けながら実施するのがベストです。

特にM&Aによる事業承継ならば、仲介会社のサポートが役に立ちます。

仲介会社にはM&Aの専門家が在籍しているため、さまざまな質の高いサービスを提供してもらえます。

MAポートでも第三者への事業引き継ぎをサポートしておりますので、ぜひ気軽にご相談いただければ幸いです。