廃業したらその後はどうなる?借金のパターン別に解説!

2021.09.21 会社・事業を売る

廃業することを検討している際、その後の生活がどうなるか想像できなければ実際の廃業へと進めることはできません。借金の有無によって大きくパターンが異なるため、借金のパターン別に具体的な事例を交えながら解説していきます。

廃業と倒産の違い

廃業とは、個人事業主や会社経営者が自らの意思で事業を止めることです。事業を止める際の理由は問わず、売上が上がらないといった理由から、次の事業を行いたい、少し休みたいといったプライベートな理由でも構いません。

一方、倒産とは、強制的に事業をストップさせられる点で廃業とは大きく異なります。例えば、借金の返済期限が来たにも返済するお金がなければ、金融機関から資産の差し押さえを受けることになります。資産の差し押さえを受けてしまえば、銀行口座も自由に使用できなくなり、事業継続ができずに倒産することになります。日本では、高齢化やコロナの問題から、2020年から2021年にかけて倒産の数が多くなってきています。

借金の有無によって、廃業後の状況が大きく変化します。今回は、下記の3パターンに分けて実際の生活を解説していきます。

  1. 廃業後に借金がないケース
  2. 廃業後に借金が残るが返済可能なケース
  3. 廃業後に借金が残り返済不可能なケース

廃業後に借金がないケース

廃業後、借金が残っていなければ、その後の生活に特に制約はありません。廃業した後は会社に最終的に残ったお金がオーナー経営者に配分されます。その資金を元手に新たな事業を始めることも可能で、どのような対応もできます。

複数会社を経営しており、そのうちの一社を廃業した時には、廃業した事業にかけていたお金や時間を、既存の事業に投入するこができます。廃業後に借金が残らなければ、オーナー経営者であれば自分の意思だけで廃業するか否かを自由に決めることができます。

廃業後に借金が残るが返済可能なケース

廃業後は会社の資産を第三者に売却するなどして現金化します。その現金で借入金などの負債を返済していきますが、最終的に負債が残ってしまう場合があります。オーナー経営者が借入を行う場合、一般的には連帯保証が付されます。そのため、会社自体に借金が残ってしまえば、連帯保証が付されているオーナー経営者が廃業後も借金を引き継ぐことになります。

借金の金額がそれほど大きくなく、返済可能なのであれば期間をかけて返済していくことになります。返済可能なケースであれば、自宅などの資産を売却する必要はなく、今までどおりの生活を維持することが可能です。ただし、借金を返済する必要があるため、オーナー経営者からサラリーマンに戻るなど、返済できる可能性が高い道を選ばざるを得ないこともあります。

廃業後に借金が残り返済不可能なケース

廃業後に借金が残り、返済不可能なケースは、自己破産が有力な選択肢となります。自己破産とは、借金の返済が不可能なことを裁判所に認めてもらうことで、借金の返済義務が原則としてなくなる手続のことです。

他方で自己破産をする場合には以下のデメリットがあります。

  • 高額な財産が処分されてしまう
  • 今後一定期間、借金ができなくなる
  • 官報に名前が掲載されてしまう

高額な財産が処分されてしまう

自己破産をした場合、99万円を超える現金と時価が20万円を超える財産は処分の対象となります。例えば、高価な貴金属類、美術品、骨董品、車などは処分の対象になりやすいと言えます。

ただし、時価が20万円を超えていたとしても、家具などの生活に欠くことのできない財産については、処分されません。自己破産したとしても、生活に直接関連しない財産はなくなりますが、いつもの生活を送れることができます。

今後一定期間、借金ができなくなる

自己破産を行うと、ブラックリストに載ってしまうため、7〜10年程度は新たな借金ができなくなります。そのため、新規事業を行いたい場合には元手資金が少ない事業を選ぶ必要があります。

また、自己破産した場合には保有しているクレジットカードも使用停止となり、今後、一定期間は新たに発行することもできません。

ブラックリストから外れるまで、自身の与信を使った取引ができない点は、その後の生活に少なからず影響を及ぼします。

官報に名前が掲載されてしまう

自己破産した場合には、官報に自身の名前と住所が掲載されます。掲載回数は、破産手続開始時点と、裁判所が免責を許可した時点の2回です。

インターネット官報では30日間、情報が掲載されることになります。ただし、官報情報検索サービスを利用すると、過去の官報情報を遡って検索することが可能です。そのため、一度官報に自己破産の情報が載ってしまえば、情報がなくなることはありません。

もちろん、官報情報検索サービスは一般の人は利用する機会が少ないと思いますので、その後の生活にはほとんど影響がないと考えられます。

廃業前にM&Aを検討してみるのがおすすめ

廃業後に借金が残る場合には、その後の生活にある程度影響が出てきます。自己破産する場合には、基本的には住宅も手放す必要が出てきます。

そのため、廃業を考える前に一度、M&Aの可能性を検討してみることがおすすめです。M&Aであれば借金がある企業だったとしても、株式譲渡で、会社ごと売却することもできます。また、黒字事業だけを切り離して売却し、その分を借金返済に充て、廃業後の借金を圧縮することもできます。

ただし、M&Aの場合、相手があってこそ成約するものであるため、誰でも売却できるわけではありません。また、一般的に3ヶ月〜6ヶ月など、ある程度まとまった期間が必要です。そのため、M&Aに必要な資料一覧を事前に準備しておくなど、事前に対策を行っておくとスムーズに売却の手続を進めることができます。

M&Aを考えたい場合には、M&Aの経験が豊富な専門家に相談するなど、M&Aに関連するビジネスをうまく活用しながら、慎重に検討を進めていくことが大切です。

まとめ

今回は廃業後の生活がどうなるかについて解説してきました。借金がなければいつでも自由に廃業することができ、その後の生活や事業に大きな影響はありません。

一方で廃業後に借金が残る場合にはその後の生活や事業にも影響があるため、注意が必要です。自己破産する場合にも、高額な資産は処分され、一定期間ではありますが借金することもできなくなります。

廃業する前には、一度、M&Aするこができないか検討してみることがおすすめです。借金が残っていたとしても会社ごと売却することもできますし、一部事業だけを事業譲渡することも可能です。

適切なアドバイザーに相談のもと、M&Aを進めていくことが重要です。初回の相談は無料であることが多いため、事業売却の可能性について、気軽に相談してみましょう。