会社売却で社員はどうなるの?社員も幸せになる会社売却のコツを解説!
2020.08.24 会社・事業を売る会社売却を先延ばしにする理由の一つに、「社員に迷惑をかけるかもしれない」というものがあります。
社員の雇用が失われたり処遇が悪化することを恐れて、会社売却に踏み切れない方は多いのではないでしょうか?
特に中小企業の場合、長年会社に貢献してきた社員に迷惑をかけられないと考える経営者の方が非常に多いです。
そこで今回は、会社売却により社員がどうなるのかに関して、中小企業の売却をサポートしてきた弊社が詳しく解説します。
併せて、社員にも幸せになってもらう会社売却のコツも解説しますので、中小企業の経営者の方はぜひ参考にしてもらえればと思います。
会社売却後の社員の処遇
会社売却を果たすと、社員の処遇はどうなってしまうのでしょうか?
この章では、会社売却後の社員の処遇について、M&Aの実例を数々見てきた弊社が分かりやすく解説します。
原則的に雇用契約は引き継がれる
大半の会社売却は、「株式譲渡」と呼ばれるM&A手法を使って行われます。
株式譲渡では、売り手企業から全株式を買い手企業に渡す形で経営権の移転が図られます。
あくまで株主(≒経営陣)のみが変わるため、社員の雇用契約は自動で引き継がれることになります。
したがって、会社売却を実施したからといって社員が職を失うことはほぼありません。
事業譲渡による会社売却でも雇用契約は引き継がれるケースがほとんど
買い手からの希望があったり、売り手が個人事業主の場合には、事業譲渡の手法で会社売却が図られるケースもあります。
事業譲渡を行うさいには、買い手側は社員との雇用契約を再度締結し直す必要があります。
つまり、理論上は会社売却に伴い、社員が職を失うリスクがあるわけです。
しかし現実的には、事業譲渡による会社売却でも、社員の雇用契約は引き継がれるケースがほとんどです。
なぜなら、買収した事業で引き続き利益を得るには、業務に関するノウハウやスキルを持つ売り手社員の力が不可欠だからです。
たとえ優れたビジネスを買収しても、それを回す社員がいなければ利益は得られません。
そのため事業譲渡で買収する場合でも、買い手は社員との雇用契約をすべて引き継ぐのが一般的です。
処遇や働き方については大きく変わる可能性がある
雇用契約は引き継がれるものの、処遇や働き方については大幅に変わる可能性があります。
たとえば買い手が徹底的な成果主義を導入している場合、会社売却により社員は成果主義で評価されるようになる可能性があります。
また業務のやり方に関しても、買い手の指針に従う必要が出てくるかもしれません。
特に事業譲渡の場合、会社売却に伴い新しく雇用契約が締結されるため、大幅に給与体系や働き方、評価方法などが変わることもあり得ます。
会社売却で社員の処遇が変わるとどうなる?
仮に会社売却で社員の処遇が変わった場合、どのような影響が生じるのでしょうか?
社員のモチベーション低下や離職を招く
会社売却により処遇が変わった場合、社員はこれまでとは異なる評価体系や働き方に従わなくてはいけません。
社員にとっては、ある日から突然働く環境が変わるため、大きなストレスや不満を抱えることになります。
その結果、モチベーションの低下や離職という事態が生じてしまいます。
買い手企業にも迷惑がかかる
社員のモチベーション低下や離職が生じると、買い手企業の売り上げや利益が減少する可能性があります。
買い手にしてみると、売り手の労働力やスキルを得るためにお金を出したにも関わらず、かえって業績が悪化するわけです。
社員も幸せになる会社売却を行うコツ
会社売却を果たした際、経営者は多額の売却利益を得られたり、個人保証から解放されたりと、良いメリットを沢山得られます。
ですが経営者だけが良い思いばかりして、社員が不幸になるような会社売却は好ましくありません。
長年会社の成長に貢献してきた社員も幸せになる形で、会社売却を実施するのがベストです。
社員もしあわせにするには、下記3つの視点を持って会社売却を行うと良いでしょう。
社員の視点から買い手を選定する
社員から見ても幸せな会社売却を果たすには、社員の視点も持った上で買い手を選定することが一番重要です。
具体的には、自社と経営方針や経営理念、働き方、評価体系などが同じような買い手を選ぶのがベストです。
こうした要素が自社と類似していれば、会社売却後も社員はほとんど同じ環境下で働ける可能性が高いでしょう。
経営方針や理念、働き方などが自社と類似しているかどうかは、転職サイトの口コミなどのインターネット上の情報はもちろん、トップ面談や買い手企業の視察など、会社売却のプロセスでも判断できます。
トップ面談で社員を大事にする会社かどうかを見極める
社員が幸せになる会社売却を果たす上では、トップ面談(経営者同士の顔合わせ)がとても重要です。
トップ面談では、言葉遣いや言動から社員を大事にしているかどうかを見極めることができます。
社員を大事にする買い手に会社売却すれば、社員は快適に働ける可能性が高いと言えるでしょう。
雇用や処遇に関してあらかじめ契約の条件面で定めておく
どれほど買い手探しやトップ面談を注意深く行っても、社員にとって快適な労働環境を確保できるとは限りません。
より確実に快適な労働環境を確保したいならば、雇用や処遇面に関してあらかじめ契約条件で定めておくのがベストです。
たとえば、会社売却を行う条件に従業員の雇用を1年間以上継続することを定めておけば、確実に雇用を引き継げます。
また、給与面や働き方を変えない旨を定めておくのも有効な戦略となるでしょう。
社員の気持ちも汲んで会社売却を行おう
会社売却では、経営権だけでなく社員の雇用契約も移転します。
買い手側に社員の処遇を決める権利が移るため、場合によっては社員の雇用環境が大きく悪化する可能性も考えられます。
会社売却後も引き続き社員が快適に働くには、社員の気持ちも考慮した上で会社売却を図ることが重要です。
長年業績向上に貢献してきた社員のためにも、今回お伝えしたコツを踏まえて会社売却を進めていただければと思います。