会社売却の手続き【5つのステップで解説】
2020.08.20 会社・事業を売るあらかじめ会社売却にどのような手続きが必要かを知らないと、想定外の出費や業務の発生により、会社売却がスムーズに進まない上に、本業の活動にも支障をきたす可能性があります。
したがって会社売却を検討したら、必要となる手続きを把握しておく必要があります。
今回の記事では、会社売却の手続きを5つのステップで分かりやすく解説します。
M&Aのアドバイザーと相談・契約
会社売却を実施するには、会計や税務、法務などの知識を要する業務をたくさんこなさなくてはいけません。また、買い手を探すためには、各企業や団体との幅広いネットワークが必要です。
以上の理由から、大半の中小企業ではM&Aのアドバイザーに会社売却をサポートしてもらいます。
M&Aのアドバイザーにはいくつかの種類があり、それぞれ得意分野や業務の範囲などは異なります。
主なM&Aアドバイザー(相談先)をご紹介しますので、ご自身に適したところを見つけてください。
仲介会社
M&Aのアドバイザーとして最もオススメなのは仲介会社です。
仲介会社は、M&Aの売り手と買い手のマッチングを行う専門業者です。
多くの仲介会社には公認会計士や弁護士などの専門家も在籍しているため、マッチングだけでなくデューデリジェンスや企業価値算定、契約書作成などの専門的な業務もサポートします。
そのため、会社売却の業務を一貫してサポートしてもらいたい場合は、仲介会社への相談がベストです。
士業の事務所
税理士事務所や会計士事務所などの中には、会社売却のアドバイザー業務を行うところもあります。
弁護士なら法務、税理士ならば税務など、それぞれが特定の専門分野を持っている点が特徴です。
したがって、特定の業務について質の高いサポートを受けたい場合には、士業の事務所に相談するのがオススメです。
ただし保有するネットワークは仲介会社よりも狭いため、マッチングなどを依頼するのには不向きです。
公的機関
商工会議所や事業引継ぎ支援センターなど、公的な機関に会社売却の相談を行うことも可能です。
公的機関では各地域ごとに深いネットワークを持っているため、地元で会社売却したい中小企業は、マッチングも含めて豊富なサポートを受けられます。
ただしバリュエーションなどの専門的な業務を担える人材は少ないため、こうした業務は別途で専門家に依頼する必要が出てきます。
会社売却先の選定と提案資料の作成
正式に会社売却のサポートを依頼するアドバイザーが決まったら、次は会社売却先の選定と提案資料の作成を行います。
会社売却先の選定手続きとは
仲介会社と契約した場合には、売り手の意思や事業概要などを踏まえて、仲介会社側で売却先を選定してくれます。
一方で買い手探しを手伝ってもらえない場合には、ご自身の人脈やマッチングサイトなどを使って、会社売却先を探すことになります。
提案資料の作成手続きとは
仲介会社に会社売却のサポートを依頼した場合、詳しい情報が書かれた「企業概要書」と企業名などを伏せた「ノンネームシート」という2種類の資料が作成してもらいます。
買収の意思を見せていない相手に企業概要書をその都度見せると、自社の重要な情報が漏洩するリスクが高まります。
そこで会社売却の実務では、最初に漠然とした情報のみが記載されたノンネームシートを買い手候補に見せます。
具体的な情報が記載された企業概要書は、ノンネームシートに興味を持ってくれて、かつ自社と秘密保持契約を締結した企業にのみ見せるのが一般的です。
このような手続きを経ることで、会社売却に伴う情報漏洩のリスクを軽減できます。
会社売却先との交渉・基本合意書の締結
自社の具体的な情報を買い手が確認したら、具体的な交渉手続きを行います。
一般的な会社売却では、「トップ面談」→「条件交渉」→「基本合意書の締結」という流れで手続きを進めます。
トップ面談
トップ面談とは、売り手と買い手それぞれの経営者が対面で話し合う手続きです。
トップ面談は、具体的な条件交渉ではなく、双方の経営理念や価値観などを確認する目的で行います。
実店舗を持っている企業が当事者の場合は、店舗や商品・サービスの見学なども行われます。
売り手から見ると、数字で表せない自社の魅力を最大限伝えるチャンスでもあります。
デモンストレーションやプレゼンテーションなど、あらゆる手段を使って魅力を伝えましょう。
条件交渉
トップ面談が終わったら、具体的な条件面の交渉を行います。
条件交渉では、主に「買収価格」や「用いるM&Aの手法」、「今後のスケジュール」、「経営者・従業員の処遇」などを話し合います。
一般的には、買い手から提示される「意向表明書(希望条件が記された書類)」の内容に沿って話し合いが行われます。
基本合意書の締結
売り手と買い手双方が条件面で合意したら、合意内容をまとめた「基本合意書」の締結手続きを行います。
基本合意書に関しては、「独占交渉権」があるかを必ず確認しましょう。
独占交渉権が設定されている場合、今後は他の買い手と会社売却に関する交渉を一切行えなくなります。
他にも良さそうな条件があっても乗り換えられなくなるため、慎重に基本合意の締結を検討しましょう。
デューデリジェンスの実施
基本合意書の締結手続きが終わると、次は買い手企業によるデューデリジェンスが実施されます。
デューデリジェンスとは、売り手企業の持つ潜在的なリスクなどを、財務や税務、法務などあらゆる観点から調査する手続きです。
調査範囲や調査方法は買い手が決めるため、特に売り手側で考える事柄はありません。
ただし買い手から資料の提示や質問等が行われる可能性はありますので、その際には正直かつ真摯に対応しましょう。
最終契約の締結とクロージング
デューデリジェンスが終わると、買収する側で売買価格の調整やM&A実施可否の検討手続きが行われます。
その後に最終的な条件が買い手から提示されるので、問題なければ最終契約の締結手続きを実施します。
最終契約書にはこれまで決定した条件に加えて、「表明保証」や「補償条項」といった項目が盛り込まれます。
表明保証は「これまで買い手に開示した情報にウソがない旨を示す条項」であり、補償条項は「表明保証に反した場合に損害賠償が生じる旨を定めた条項」です。
特に隠し事をせずに会社売却の手続きを進めていれば、こうした項目をめぐって問題になることはないでしょう。
最終契約を締結したら、クロージング(資産の引き渡しや買収代金の支払いなど)を双方が実施します。
クロージングがすべ終わったら、会社売却の手続きは完了となります。
会社売却手続きのまとめ
今回ご紹介したように、会社売却の手続きは決して簡単ではありません。
しかしサポート力のある仲介会社に依頼すれば、最初から最後まで徹底的にサポートしてくれるため、会社売却にかかる労力を大幅に減らせます。
弊社でも会社売却のサポートをしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。