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M&Aにおけるシナジー効果とは?具体例を交えつつ解説!

2020.12.29 M&A知識

M&Aで買主が得られるメリットの1つに「シナジー効果」が有ります。

シナジー効果を享受出来れば、おおきく売上を伸ばしたり、コストを削減出来たりします。

また、シナジー効果がおおきいと見込まれるM&Aほど売買金額は高くなる傾向があるため、売主にとってもシナジー効果は無視出来ません。

今回の記事では、そんなシナジー効果の概要や具体例などをわかりやすく解説します。

シナジー効果とは

はじめに、シナジー効果がどのようなものかを簡単にご説明します。

シナジー効果の概要

シナジー効果とは、M&Aにより複数の企業が持つ組織や人、無形資産などが組み合わさることで、それぞれ別に活動していたときの合計よりもおおきな効果を生み出すことです。

簡単に言うと、「1+1が2よりもおおきくなる効果」を意味します。

相乗効果とも呼ばれるシナジー効果は、元々物理学や生理学などの理系分野で用いられていた用語です。

そんなシナジー効果は、経営学者であるアンゾフ氏が経営学の用語として使い始めたことで、広くビジネスでも用いられるようになりました。

M&Aではアナジー効果に注意

M&Aを実施する際には、シナジー効果の獲得を目指すのと同時に、アナジー効果が生じないように注意するのも大切です。

アナジー効果とは、複数の企業が統合されることで、かえってマイナスの効果が生じてしまう効果です。

言い換えると、「1+1が2よりも小さくなる効果」を意味します。

例えばITシステムの統合が上手くいかずに、それぞれ別に事業をおこなっていた時よりも売上が減少してしまうケースが該当します。

こうしたアナジー効果を回避するために、デューデリジェンスで統合の妨げとなるリスクを把握したり、PMIを徹底したりするのが大切です。

M&Aで生じるシナジーの具体例・種類

一口にシナジーと言っても、その種類(得られる効果)はさまざまです。

この章では、M&Aで生じる主なシナジーを4種類お伝えします。

売上シナジー

売上シナジーとは、M&Aの実施により、双方企業が別々に事業をおこなっていたときよりも売上が増加する効果です。

M&Aによる売上シナジーは、主に下記要因により得るのが可能です。

  • 販売網の拡大
  • クロスセルやアップセルによる顧客単価の向上
  • ブランド力の活用

コストシナジー

コストシナジーとは、M&Aによる双方企業の統合によって初めて得られるコストカットの効果です。

M&Aによるコストシナジーは、主に下記要因で獲得可能です。

  • 大量仕入による交渉力の強化
  • 規模の経済性の発揮
  • 生産や物流機能の統合

投資シナジー

投資シナジーとは、M&Aによって売主と買主が持つノウハウや技術といった無形資産が組み合わさることで得られるシナジー効果です。

投資シナジーの具体的なものとしては下記が該当します。

  • 商品開発力や技術力の強化
  • 新たな商品やサービスの創出

財務シナジー

財務シナジーとは、M&Aによって財務基盤が強化されるシナジー効果です。

具体的には、有利子負債の削減による資金繰りの安定化などが該当します。

M&Aによる財務シナジーは、主に下記要因によって発生します。

  • 資本力が高い企業の傘下に入る
  • 証券市場で資金調達出来る上場企業の傘下に入る

関連記事:M&Aのメリット【売り手・買い手双方の視点から解説】

シナジー効果と買収金額との関係

冒頭でもお伝えした通り、シナジー効果はM&Aの買収金額におおきく影響します。

この章では、そんなシナジー効果と買収金額の関係性をご説明します。

シナジー効果がどの程度金額に盛り込まれるかはケースバイケース

シナジー効果がどのくらい買収金額に盛り込まれるかは、ケースバイケースです。

例えば、買主が持つ技術や財務基盤などの要素によって期待出来るシナジー効果は異なります。

よりおおきなシナジー効果をみこめるほど、買収金額も高くなる傾向が有ります。

また、買主のリスク許容度によっても、どのくらいシナジー効果を盛り込むかは変わってきます。

たとえシナジー効果がみこめる案件でも、買主が「シナジー効果を得られなかった場合の損失リスク」を重く捉えている場合には、シナジー効果は買収金額に加味されにくいでしょう。

他にも、売主の需要やタイミングなど、あらゆる要因によってシナジー効果を金額に盛り込む度合いは変わってきます。

売主には想定されるシナジー効果を最大限伝える戦略が求められる

シナジー効果がおおきく加味されるほど、買収金額は高くなります。

したがって、売主には想定されるシナジー効果を最大限伝える戦略が効果的です。

M&A後に売り上げや技術開発、コスト面などでおおきなシナジー効果を得られる旨を買主に納得してもらえれば、より高い値段で会社や事業を売却出来る可能性が上昇します。

ただし、虚偽の説明をしたり実現不可能なシナジー効果を信じ込ませたりすると、後々トラブルに発展する恐れがあるので避けましょう。

M&Aでシナジーを享受するには

シナジー効果を享受できれば、買主はM&Aにより多大な恩恵を得られます。

ただし、ただ単にM&Aをおこなってもシナジー効果は得られません。

シナジー効果を享受するには、下記3つのポイントを押さえた上でM&Aを実施する必要が有ります。

シナジー効果がみこめる相手を選ぶ

まず大前提として、なるべくシナジー効果を享受出来る可能性が高い相手とM&Aをおこなうのが大切です。

例えばまったくビジネスモデルに関連性が無い相手や、統合出来る機能が無い相手などとM&Aをおこなうと、シナジー効果を享受出来る可能性が低くなります。

シナジー効果を享受したいならば、下記の項目に当てはまる相手とのM&Aをおこないましょう。

  • 事業内容に関連性が高い
  • 技術・ノウハウ等の相性が良い
  • 大量仕入や大量生産、機能の統合などによるコストカットの効果を得やすい
  • 相手企業のブランド力が高い
  • 相手企業の財務基盤が安定している

シナジー享受の妨げとなるリスクを把握・改善する

シナジー効果を享受する上で妨げとなる要因を放置すると、想定していた効果を得られない恐れが高くなります。

最悪の場合、アナジー効果が生じてしまい、かえってM&Aをおこなう前よりも業績が悪化するリスクも有ります。

そうならないためには、デューデリジェンスを徹底し、シナジー効果の享受において妨げとなるリスクを把握・改善するのが大切です。

例えば、売主の従業員による離職や簿外債務、人事評価システムや経営理念のちがいなどが、シナジー効果享受の妨げとなり得るでしょう。

PMIを徹底する

PMI(M&A後の経営統合)を徹底するのも、シナジー効果を得る上で大切です。

シナジー効果を得るには、経営理念や人事評価システム、業務プロセス、ITシステムなど、あらゆる部分を統合しなくてはいけません。

業務プロセスや理念などがバラバラだと、双方企業の強みが上手く発揮出来なくなり、シナジー効果を得られないリスクが上昇します。

M&A後は経営の統合に注力し、スムーズにお互いの強みを発揮出来るようにするのが大切です。

M&Aにおけるシナジーのまとめ

シナジー効果を得られれば、コストカットや売上の向上など、あらゆる面でメリットを得られます。

ただし、M&Aによってシナジー効果を獲得するには、相手選びやデューデリジェンス、PMIに注力する必要が有ります。

今回お伝えした内容を参考に、ぜひ戦略的にシナジー効果を獲得出来るM&Aにチャレンジしてみてください。

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